今までの話
第1話: プログラミングスクール選びで失敗し、54万円をドブに捨てた話
第2話: 未経験からエンジニアになった人に教えを請いに行った話
第3話: 空き家マッチングシステムをシコシコつくりあげた話
第4話: グッドパッチさんにデザインUIの助言を貰いにいったけど、それ以前のレベルだった話←今ココ!
第5話:
シェアリングエコノミーの雄スペースマーケットに行って撃沈してきた話
天狗になっていた私
どうも、ベランダゴーヤ研究所の片岡勧です。
前回ポートフォリオ、江田島空き家クエストをシコシコ作った結果、
校内のコンテストで優勝できちゃった私達。
これ事業化できるんじゃね??という意外な反響に舞い上がっておりました。
ワォー、マジカヨ!
細かい機能の作り込みやUIデザインを調整したらあとはヨユーじゃね??
資金調達でガッポガッポ!
これでパーリーピーポゥの仲間入りだぜ!ヒャッホー!
UIデザインってカッコよけりゃいいんでしょ!?
懸案のUIデザインだけど、要するにカッコよくてオシャレならええんじゃろ!?
正直我々はデザインの知識やセンスはないけれど、最後凄腕のUIデザイナーを雇って、バシバシとお任せしちゃえば万事オッケーじゃね!
オーホッホッホッホ!
デザイナーさんなんてクラウドソーシングでいい感じの人見つければ1発でしょ!
デザインの神より便りが届く
そんな感じで調子に乗った日々を過ごしておりましたら、こんな密書が。
グッドパッチを訪ねよ・・・
なんだその団体は?
ググってみると、どうやら凄腕のデザイナーがワラワラいる渋谷の会社らしい。
正式名称は株式会社グッドパッチ(Goodpatch Inc.)
穴だらけのデザインにいい感じでパッチ(あて布)をあててくれるイメージかしら。
ならばちょっと乗り込んで意見でももらってくるかのう。ホッホッホ
というわけで早速のGoodpatch門を叩く!
頼もう頼もう~
凄腕のデザイナー殿はおらんかね。
うちの江田島空き家クエストを見て下さいな。
ちょちょいのチョイでカッコよくするポイント教えてくださいな。報酬は江田島の空き家1軒でいかがでしょう?
とちょっとチャラついた感じで、共同開発者の内野孝太と乗り込む!
デザインの力を舐めるな!
ご対応くださったのはグッドパッチ UIデザイナーの香林(こうりん)望さん。
開口一番笑顔で鋭いジャブが!
「おふた方、デザインなんていい感じにかっこよくすればいいものなんて思ってませんか?」
えっ!ドキッ(図星)
日本ではデザインが後回しにされている
(香林)
残念ながら日本ではデザインを正しく理解している人が少ない状態です。
そのためきちんとした投資をデザインには行わない傾向があるのは事実です。
経済産業省のデータでも日本のデザイナー平均年収はそこまで高くはありません。
一方皆さんも知っているUberやAirbnbなど急成長を遂げている海外スタートアップでは、UI/UXデザインが事業の立ち上げ成否に大きく影響することへの理解は進んでおり、デザイナーが経営陣に参画していることが珍しくありません。
そのため海外では年収1,000万円を超えるデザイナーさんはザラなんですよ!
当社代表土屋がそんな現状に危機感を感じ立ち上げた会社がこのGoodpatchなのです。
(ヤベェ、俺、まさにデザイン蔑ろにしてた張本人じゃん・・・)
思わずメガネと心が曇る私。
デザインはビジネスに大きく影響する
けど実際パフォーマンスとしてどれほど違ってくるんだろう・・・。
前職で重機械メーカーに勤務していたのですが、使いづらい社内業務システム(AS400など)をみんな我慢して使ってたので、UIやデザインって最低限のものを揃えておけばいいかなという認識なんですよ。
実際慣れちゃえば使えるようになりますし・・・。
私たちが今までお手伝いをさせていただいた企業さんですと・・・
UIデザインの改善で決済率30%増を実現したチケット売買サービス
チケットキャンプさん
サービス利用者が450万人を突破したマネーフォワードさん(2017/1/25現在)
集中力の可視化で話題をさらっているJINS MEME
などがありますが、これらの企業様は早期にデザインの重要性に気づかれ、投資しているんですよね。
デザイン改善後、どんどんビジネスを展開されていらっしゃいます。
今運営しているブログのAmazonアソシエイトのコンバージョン10%程度だよ。
決済率30%増!って何事?
全然パフォーマンスが違うやんけ・・・(汗)
デザインの力を証明する
私達の会社ではデザインが本当に好きで好きでたまらない人たちが集まっています。
そしてデザインの持つ力を信じています。
”デザインの力を証明する”
それが私達の企業ミッションなのです。
も、申し訳ございませんでした~
いやはやデザインでこれほどパフォーマンスが変わってしまうとは・・・
認識を改めるとともに、空き家クエストの現状を見てもらいましょう!
ポートフォリオを見て頂く
Q1.どのようなところからこのサービスアイデアを思いついたのですか?
住宅コストが高い一方で家が余ってます。
このいびつな構造を解決できれば幸せに慣れると思いました。
Q2.どのようなユーザーリサーチを行いましたか?
現地に赴き、地域おこし協力隊(自治体)と家主の方(1名)にヒアリングを行いました。
Q3.どのような制作フローで今に至るのですか?
現状ある各自治体の空き家バンクや民間のサイトでは、だれでも情報にアクセスできるため、家の情報をあまり出したくない家主のニーズに応えられていません。
そこが、空き家バンクに登録される空き家が少ない要因だと考え、ログイン機能前提のマッチングサービスを発案しました。
Q4.このサービスによってユーザーにどのような体験を提供したいと考えていますか?その為の機能や画面の役割を教えてください。
ユーザーが多少難がある空き家に対してもワクワク感を抱いて使ってもらいたい。
単なるスペックマッチングでなく、家主の想いを汲み取ったマッチングを実現したいです。
Q5.これまでどのようなフィードバックがありましたか?
- 他社がやっていないサービスなので面白い
- 現地調査を行っているのが良い
- デザインが少し残念
- 家主が本当に安心感を持って空き家情報を提供しれるか検証が必要
怒涛のヒアリングが!なんかデザインそのものよりも、その前段階から聞かれてる感じ。
よいサービスづくりのためにはデザインの前工程が重要
なるほど、分かりました。
片岡さん、今回具体的なUIデザインに関するフィードバックを行うことはできません。
ええっマジすか!?
(ヤベェ、冒頭デザインを蔑ろにして怒らせちゃったからだろうか・・・)
今回ご提案いただいたポートフォリオを拝見させて頂きまして、
UI/UXデザインに入る前段をしっかり構築することが、良いサービスに繋がるのではないかと考えています。
ただ見た目のデザインを改善するだけでは意味がないのと、
具体的な改善の方針は前段があってこそ見えてくるためです。、
その前段の工程で一体何が足りないんでしょう?
現地調査もそれなりにやったし、発表会でも審査員の評価は良かったので、
前工程はほぼ出来てるんじゃないかなーって認識してたんですよ、
恥ずかしながら。
もう率直に何が足りないか教えてくださいな!
ユーザーとして
- 空き家を貸し出す人
- 空き家を探している人
が想定されますが、
2の人に提供できる価値が曖昧です。
サービスを実際に使うユーザー目線が正直まだ足りないですね。
このサービスをどんな人に届けるかが明確になっていないからだと思います
でも確かに今まで空き家の家主の事をフォーカスしすぎていて、空き家を探す人のことをそんなに考えてこなかったなぁ。。。
家主と自治体のことばかり考えてたわ・・・。
では具体的にどこから取りかかればいいんでしょうか??
ペルソナを明確にする
まずペルソナを明確にする必要がありますね。
サービスを使う人の詳細なプロフィールの事ですね。
▼年齢/性別/住所/職業/年収/家族構成
といった定量的なデータに加えて、
▽性格/価値観/消費行動パターン/抱えている課題
など定性的なデータを記したものです。
なんとなくイメージはあるんですけど、しっかり作ったほうがいいんですか??
しっかり言語化しておいたほうが良いですね!
サービスをつくる中で方向性が分からなくなってきた時、明確なしっかりペルソナを作っておけば、ユーザーが抱えている課題をどうやって解決するか考えやすくなり、ブレにくくなります。
今回の空き家クエストの場合、ユーザーの種類が多いんです。
- 空き家を探している人(30-40代の働き盛り)
- 空き家を探している人(60代以降のリタイヤ世代)
- 家主さん(高齢者)
- 自治体職員
これら全部作っておいたほうがいいんでしょうか??
すべて作っておくのが理想的ですね。空き家を探している人は2種類いますが、これも
とそれぞれ作っておくと良いでしょう。
相当前段階で作り込みをするんですね。甘かった・・・。
ちなみにグッドパッチさんではどのようにペルソナを作ってるんですか?想像??
はじめはプロジェクトメンバーでアイデアを出し合いますが、
想像だけでつくってしまうと自分たちにとって都合のいいペルソナが出来上がってしまうので、偏らないようしっかり調査しています
ペルソナを作った後は
"サービスを使う前~使った後" の各過程毎に整理し、ユーザーストーリーを作成。
実際のサービスに活かして行きます。
ワクワク感を醸成するには??
ちょっと話の本流とズレるのですが、この空き家クエスト、ユーザーがワクワク感を感じられるようにしたいんですよ。
一般的に空き家ってネガティブなイメージがあるので、それを払拭できるようなイメージにしたいなと思ってまして。
なにかポイントってありますか??
ロゴを作ってみるのがいいと思います!
そういったサービスの雰囲気やポリシーって非言語的なもので伝わっていくんですね。
世界観を表現するロゴを作ってみると、全体の方向性が見えてくるはずです。
例えばグッドパッチが2017年1月に正式ローンチしたばかりの開発現場でのデザインフィードバックを円滑にするフィードバックツール"Balto"
Baltoはアラスカで活躍した犬ぞりのリーダー犬の名前。開発現場でもクオリティを引っ張っていく存在になってほしいという想いを込めてつけられたそうです。その由来からロゴのモチーフも犬の形になっています。
Baltoコンセプトメイキング時のスケッチ
なるほど、ロゴにはサービス思想や想いが詰まっている、いわば象徴のわけですね。
スティーブ・ジョブズがNextコンピューターのデザインアイデンティティに10万ドルも投じた気持ちが分かる気がします。
思いつきですが、空き家クエストの場合仮に30代-40代をメインターゲットにするのであれば、ファミコン時代のドラクエを想起させるドット風・原色系のデザインとかですと面白そうですね。
あ、それいいですね!だからペルソナを明確するのが大事なんですね。
機能の作り込みは後で良い
ここで共同開発者の内野さんからも質問が。
サービスをつくるにあたって、まず機能をとりあえずつくちゃって、UIデザインは後で実装するやり方を取っているんですが、グッドパッチさんではいかがですか??
グッドパッチの場合はチームビルディングのキックオフからエンジニアがアサインされ、リサーチの段階からすでにエンジニアがいます。
なので、最初の機能を考える段階からデザイナーとエンジニアが一緒にやるんです。
エンジニアとも密にコミュニケーションをとりながら進めることで手戻りが発生しづらいので、時間の無駄を減らすことが出来ます。
機能をしっかりつくってからでないといけない、なんというか後ろめたい気持ちみたいなものがあったので目から鱗です!
メーカーに勤務していたせいか、私もまずはモノをカンペキに作ってからじゃないと、レビューできないみたいな認識がありました。
先に機能を作り込んでしまうと、仕様が変更になった場合など大きな手戻りが発生したりしますからね。
極力そういうことが起こらないようにすることが大切ですよ。
プロトタイプのレビューについて
プロトタイプも実際にユーザーに使ってもらうんですか??
そうですね、実際にターゲットユーザー属性に当てはまる方に来て頂き、サービスを触っていただきます。
その時私たちは後ろから一挙手一投足をひたすら観察します。
グッドパッチにはカメラ付きのユーザーテストルームもあります。
こだわりが半端ない・・・なぜそこまでやるんですか??
ペルソナを明確にした上で作ったプロトタイプでも、やはり私達の思い込みや主観が入ってしまってます。
ボタン1つの操作でも迷って1秒余計に時間かかったとしたら、それはユーザーにとって分かりにくかったということ。
常にリフレーミングして色んな視点を持つことがサービス改善には欠かせないと考えています。
作って終わりだった前職場の情報システム部に聞かせてあげたい・・・
デザインに対して恐ろしい執念と情熱を燃やすグッドパッチさんに触れて、はずかしながら自分のデザインに対する認識の浅さを気付かされました。
そしていいUIデザインとはカッコイイとかオシャレとか表面的なものじゃなく、徹底的なユーザー理解とUX設計という土台があってはじめて成り立つということを認識した次第。
▲ビスマルクポーズで敬意を表す私
江田島への現地調査も行ってたし、なんとなく出来てたかなーと思っていたんですが、まだまだ足りなかった!
もっと泥くさくユーザーを理解していこうと思います。
今回(第4話)前後の話
今までの話
第1話: プログラミングスクール選びで失敗し、54万円をドブに捨てた話
第2話: 未経験からエンジニアになった人に教えを請いに行った話
第3話: 空き家マッチングシステムをシコシコつくりあげた話
第4話: グッドパッチさんにデザインUIの助言を貰いにいったけど、それ以前のレベルだった話←今ココ
第5話:
シェアリングエコノミーの雄スペースマーケットに行って撃沈してきた話