クラウドワークス 安西氏「エンジニアの自立的な学習を促す」組織のつくり方《新卒エンジニア育成カイギ その2》


クラウドワークス 安西氏「エンジニアの自立的な学習を促す」組織のつくり方《新卒エンジニア育成カイギ その2》

「これからの新卒エンジニア育成のあり方」を考えるイベント、「新卒エンジニア育成カイギ」が2016年12月15日に行われました。

大盛況だったイベントからクラウドワークス安西氏講演の後編、クラウドワークスにおけるエンジニア育成についてご紹介します!

前編:《新卒エンジニア育成カイギ その1:クラウドワークス 安西氏が語る「エンジニアが人事をやった方がいい」理由》

目次
  1. クラウドワークスにおけるエンジニア育成とは
  2. 「チームで育てる」ことで新卒育成の俗人化を防ぐ
  3. チーム学習と個人学習、自立的な学習を促す2つの仕組み
  4. 『本人の意向』と『組織の期待』を両立させるためのマネジメント手法
  5. 『学習する組織』をコンセプトに、答えがないことにチャレンジし続けるチーム作り
  6. 次回予告

クラウドワークスにおけるエンジニア育成とは

image 今日のハイライトの育成についてです。入社した後はどうするか?という話です。まず、新卒エンジニア向けの技術の集合研修は今のところまだやっていません。

ビジネスマナーや、最低限のことは最初の入社の2週間くらいでやっています。

ちなみに、非エンジニアの皆さんには技術集合研修という意味でサービスに関わるプログラミングをやってもらっています。

プログラミングを知ってもらうためもあるし、実際プルリクエストを出してサービスに反映させるところまで行っています。

弊社のエンジニアが教えるとコストがかかってしまうので外部の研修を受けてもらうようにしています。

技術の研修は非エンジニアのみが対象でエンジニアの集合研修はやっていないという形です。

じゃあどうやるか?という話なんですけど、一般的なOJTとは異なるため、それをちょっと分解してみました。ポイントは3つあるかなと思っています。

そのあたりを1つずつお話していきます。

「チームで育てる」ことで新卒育成の俗人化を防ぐ

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1つ目はチームで育成。 どのようにやっているかと言うとサービスや目的別のチームを作っています。エンジニアや企画職、デザイナーが1つのチームに入り、できるだけフラットで上下関係がないようなチームです。

ご存知の方もいると思うのですが、クラウドワークスでは「スクラム」という開発プロセスを使っています。「誰が偉い」とかそういう事ではなく、新卒だろうがインターンだろうが関係なくチームに入ってもらうという方針です。

その上で「チームで育成」を行います。ここがポイントなんですけれど、チーム全員が新卒のメンバーはもちろん、その他のメンバーのスキルや、やりたいことを把握するようにしています。

また、クラウドワークスではOKRという目標設定方法を導入しているのですが、チームで個人のOKRを見せ合うワークショップをやっています。

そうすると「この人はこういうことをやろうと思っている」だとか、「こういう目標を持っている」ということが自然と把握できますし、それにコメントする事でお互いの期待を知ることができるんですね。

そうするとOKRも個人の目標も結構ブラッシュアップされていきます。相互に把握しておくことがポイントです。

それを踏まえてスクラムを行うため、タスクがチーム全員で共有され、特定の誰かがアサインするのではなく、チーム内でタスクのアサインを決めています。

アサインの際は、例えば新卒メンバーに「次はちょっとストレッチなタスクをやってもらおう」というような雰囲気づくりをして、少しずつレベルを上げていくようにしています。

このメリットは育成が俗人化しないところです。

過去には、メンターを1対1でつけてということもやったことがあったんですが、成果が俗人的になってしまい、なかなかワークしないということがありました。

それに対し、チーム全員で育成を行うと、まんべんのないサポート・フォローができるのでいいのではないかと感じています。

チーム学習と個人学習、自立的な学習を促す2つの仕組み

image 2つ目は、本人のキャリア意向を出発点にするという事です。シンプルに言うと『君はどうしたいの?』という質問をし続けるということです。たったそれだけです。

その上で促進しているのは自立的な学習。本人が自走して学習できるような環境をつくるようにしています。

実現するための方法は、具体的に2つあります。1つは「チームでの学習」です。

当たり前に「社内外の勉強会に行っても良いよ」としている会社さんがおおいように、我々もそのようにしています。

ただし、「エンジニアの満足度向上のために勉強できる機会を」ということではありません。勉強会への参加を促す目的は「学習する習慣を作る」こと。

例えば隣の席の人や後輩が、いきなり隣で勉強しはじめたり、勉強会に積極的に参加したりすると焦るじゃないですか?

「自分も勉強しなくちゃ!」とお互いが刺激しあえる雰囲気を生み出すことが、勉強会の参加促進において1番重要だと思っています。そのために勉強会への参加を推奨しているんです。

チームでも、チーム外でも。誰とやってもかまいません。もちろん申請する必要もないですし、「どんどん好きにやってください」と。すべては学習する習慣をつくるためです。

2つ目は個人の学習です。月に数回1on1のミーティングを行っています。ここでさっきの「君はどうしたいの?」質問が出てきます。

毎回どうしたいのかを確認しながら、組織の期待を本人の「どうしたい」に変換していくという作業を粘り強くおこないます。

『本人の意向』と『組織の期待』を両立させるためのマネジメント手法

image 自立的な学習を促すためのこのようなやりとりはとても重要です。

ただ、よく陥ってしまうのは『組織の期待』を社員に求めることの1番においてしまうこと。

それはそれで必要ですが、『本人の意向』を出発点にしたほうがいいと僕は思っています。意向を聞く事によって僕自身も「会社の思惑と本人の思惑をどう合わせていこうか?」と考えることができるようになります。

そうするとお互いに満足度が上がってくるんです。これを繰り返し行っていきます。

そのようなことを行っていくと、我々の想定以上に成長してくれます。

『学習する組織』をコンセプトに、答えがないことにチャレンジし続けるチーム作り

image 時間もちょうどいいので話をまとめますと、今回お伝えしたいことのポイントは採用前と中と最後にありました。

1つ目は、採用戦略を人事に丸投げしないことが大事というお話。

次に、長期インターンに来てもらって本人のスキルを把握しましょうという話。

最後に、育成のポイントは自立的な学習・コーチング的なコミュニケーションが重要、という話です。

実は、これは新卒に限らず中途にもまったく同じことをやっていまして、「どうしていきたいですか?」ということを全員に聞きつづけています。

コーチングをしたり1on1を続けたり、『学習する組織』をコンセプトにしてフレームワークが作られています。なかなか答えが見えない中でどう組織を運営するか?という組織作りのための手法です。

サービス開発は基本的に答えが見えません。答えが見えないことに対し前向きに取り組んでもらうためのマネジメントを意識して行っています。

ということで、ちょうど時間となりますので終わりたいと思います。ありがとうございました。

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次回予告

クラウドワークス プロダクト開発Div ゼネラルマネージャー 安西氏の講演、後編をお届けいたしました。

株式会社フロムスクラッチ R&D-Unit 商品企画 執行役員 請井氏の講演前編はこちらからどうぞ! フロムスクラッチ 請井氏が語る「破壊的イノベーションを実現するエンジニアチーム」の特徴《新卒エンジニア育成カイギ その3》

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