印刷×テクノロジーで社会の仕組みを変える
ーラクスル株式会社CTO泉 雄介氏

      2016/07/01

Code部

ラクスル株式会社CTO泉 雄介氏にインタビュー!

業界をリードするトップエンジニアのみなさんに、プログラミングを始めたきっかけやご自身のスキルアップの極意、初心者へのアドバイスなどをお聞きし、お届けするシリーズ「トップエンジニア・インタビュー」。

今回はラクスル株式会社CTO泉 雄介氏にお話をお聞きしました!

 

プロフィール:泉 雄介氏

米音楽大学を卒業後、メディア制作会社に作曲家として入社。しばらく作曲で生計を立てるが徐々に映像やFlash Movieなどに興味持ち始め、システム開発で起業。その後グローバル企業で働きたいと思い、モルガン・スタンレー証券会社に入社。約7年間、主に債券の取引のシステム開発を行う。その後、DeNAに入社し、ゲームプラットフォーム事業やバイオテクノロジーのサービス開発を経て、2015.10よりラクスル株式会社にてシステム部部長に就任。2016.3より同社CTOに就任。

 

作曲家からプログラマーへ転身

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本日はインタビューを受けていただきありがとうございます。
中学の頃からプログラミングに触れていたとお聞きしたのですが、きっかけはどのようなものでしたか?

10歳の頃です。父が当時働いていた会社で処分されたIBMのPCをもらったのがきっかけでした。当時のパソコンは起動しても真っ暗な画面にプロンプトが表示されているだけなので、BASICでプログラムを書きはじめました。いわゆる本からコードを書き写す「写経」です。プログラムが動いたときはとても感動しました。そのプログラムを書き換えたり、フロッピーディスクにコピーして友人と交換したりするのが面白く、どんどんのめり込んでいきました。

 

大学は音楽関係に進学されたとお聞きしたんですが、エンジニアになった背景を教えてください。

プログラミングは趣味として楽しかったのですが、4歳の頃からピアノもやっており、中学校・高校と本格的に取り組んだので結局大学は音楽大学に進学しました。音楽大学を卒業してからはしばらく作曲家として仕事をしていたのですが、映像制作にも興味を持ち始め、Flashアニメーションも制作するようになりました。さらにFlashとサーバーサイドを連動させて動的にコンテンツを制御したいという要件で初めてPHPに触れて、さらにデータベース、JavaScript, Java等を学んで行き、気付いたらエンジニアになっていました。

 

技術力をつけていくに当たって効果的だった勉強方法などはありましたか?

特に自分が意識的にやっていたことではないのですが、はじめは「感覚」を養うことが効果的なのかと思います。こう書いたら、こう出てくる、ということを五感をもって体感する。本で読んで理解することも大事ですが、実際パソコンの前に座りコードをタイピングして実行してみることが大事だと思っています。

あと大事なのは、書いたものを通じて誰かにフィードバックをもらう。これはコード自体のフィードバックでもいいし、ソフトウェアを実行して触れてもらう時のフィードバックも含めてです。結局プログラミングを通じて何かしら人と繋がるから楽しいし、楽しければ続くのでまずはやってみることかなと。

 

エンジニアの仕事は顧客の課題を解決し、ニーズを満たすこと

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現在CTOとしてマネジメントなどの面で取り組まれていることがありましたら教えてください。

エンジニアのミッションは「顧客の課題を解決して、ニーズを満たす」ことだと思っています。それに向けて集中できるように、チームと働き方について話し合いを行い、生産性を下げる要因があれば改善していくことを定期的に行っています。チームが一体感を持って顧客と向き合い、より集中してサービスが作れるようにサポートする事が自分のマネージャーとしての役割だと思っています。

 

エンジニア向けに育成の面で力を入れている部分がありましたら教えてください。

現在やっている取り組みとしては、グーグルの現役エンジニアの方に来ていただきワークショップをしたり、社内で勉強会なども定期的に実施しています。内容的には技術的な部分を中心にやるのではなく、他社ではどのようなことを意識して普段開発をしているのかなどを聞いていく中で、シンプルな改善を地道にやる施策を実施していたりします。

 

仕組みを変えることで新しい社会インフラの一助になれることが醍醐味

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先ほど社内勉強会の話があったと思うんですが、非エンジニアに対してもそういった取り組みはされていますか?

具体的な取り組みとしては、Friday Lunchという週一回の全社勉強会でたまにHTTPについて説明したり、マークアップのワークショップを開催したりする程度ですが、今後も積極的にやっていきたいと思っています。

また、なにも「プログラミング」だけが「エンジニアリング」の手段だとも思っていません。ツールを導入してマーケ分析をしたり、グーグルフォームを使ってスプレッドシートにデータを入力させて集計を取ることも立派な「エンジニアリング」だと思っています。変に「非エンジニア」を意識せず、コンピューターやシステムを自分の味方につければ、誰でも「エンジニア」と呼んで良いと思います!

 

たしかにそういった意味ではみんなエンジニアになるべきですよね
逆にエンジニアに対して意識して伝えていることがあれば教えて下さい。

日々エンジニアには「顧客への価値提供ができているか?」としつこく聞いています。サービスを開発する事と、顧客の役に立って喜ばせる事は必ずしも同じではないと思っており、技術がいかに優れていてたくさんの機能を提供していても、顧客の役に立たなければエンジニアの真の目的は達成できません。何かを作る際にも本当にそれは顧客が必要としているのか、という点について深く考えてもらうようにお願いしています。
また、すこし長めの目線でいうと、印刷においても流通においても「長期的に使われる社会インフラ」を作ることがラクスルのエンジニアの挑戦であり楽しみでもあると思うので、そのゴールを一緒に目指して欲しいと伝えています。

 

採用のときにも意識されてるんですか?

そうですね。「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」というビジョンに共感してくれるか否かというのは一緒に働く上で大事なポイントだと考えています。実際に面接の中でも「なぜラクスルを選ぶか?」ということは必ず聞きますし、逆にすごい技術に優れている人でもビジョンに共感できない方にはラクスルをお勧めしていません。

これから長く使われ続けるサービスを作れるというのは開発する上で大きな醍醐味だと思いますし、作る側のエンジニアにはそういった熱意をもって仕事をしていただきたいです。そういった熱意のあるエンジニアの方は大歓迎です(笑)。

 

エンジニアだからこそ倫理観を持たせる

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ラクスルでの優秀なエンジニアの定義などありましたら教えてください

個人的に大事だと思うのは三つあります。

一つは、ユーザーファーストになれるかどうかです。ラクスルはサービスを売り物にしている会社なので、「サービスを愛してくれている顧客のことが第一の関心事」であって欲しいと願います。

二つに、エンジニアの倫理観を持つこと。エンジニアは尊い職業だと思いますし、本当に細かい所まで細心の注意を払う必要があります。鉄道の設計をしていればネジ一本間違えるだけで大惨事を招くこともありますし、医療機器のプログラミングであれば制御一つ間違えれば人の命を奪います。

最後にチームワーク。昔のプログラミングはネットにもつながっていなかったので個人競技でした。今やプログラミングは団体競技です。コミュニケーションを大切にし、ポジションを明確にし、チームのルールを守り、目的をしっかりもち、日々練習を怠らない。スポーツとも似たチームワークが大切だと考えます。

 

エンジニアというとどうしても技術にフォーカスしてしまう一方で倫理観というワードは新鮮ですね!

 

そうですね。話は変わりますが1900年初頭にカナダのケベックに建設されたケベック橋、という橋があるのですが、それが設計ミスで建設中に倒壊してしまい、75人の命を奪いました。しかも1916年にもう一回倒壊して13人の人がなくなりました。その事故から学んだ教訓を次の世代にも受け継ぐため、カナダの工学大学の卒業生はその倒壊した橋の鉄から作られたIron Ringというもの受け取るらしいです。

この事故から言えることは、どんなに優秀なエンジニアでも一つのミスで大きな損害が生まれるということです。だからどのエンジニアにもがこれから長く使われるサービスであるということを常に意識して開発してほしい。自分もまだまだですが、エンジニアの倫理感を持つことは大切だと思います。

 

最後にプログラミング学習者へエール

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「好きこそものの上手なれ」ではないですが、はじめは子供が無邪気に絵を描いたり、折り紙を折って親にプレゼントして「驚いて欲しい!」と同じ思いでやるのが良いと思います。プログラミングを純粋に「楽しい!」と思うこと、そして「誰かに見せてWOW!と言わせたい」という無邪気な気持ちでやれば良いと思います。あとはじめから完璧を追い求めない。天才と呼ばれているエンジニアだって完璧なソフトなんて作れないんだから。

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