- 公開日: 2017年03月03日
シンギュラリティと2045年問題とは?AIは人間を越えるのか?
書店やネットで時々見かける「人工知能」や「AI」、それから「シンギュラリティ」という言葉。どこか他人事、と思われていませんか?今回はシンギュラリティ・ビギナー向けに、シンギュラリティの概要とシンギュラリティによって発生する 2045年問題 について解説させて頂きます。
##シンギュラリティと2045年問題とは?AIは人間を越えるのか?
シンギュラリティ(singularity)とは?
img : Rebane's Ruminations
テクノロジー界におけるシンギュラリティ(技術的特異点)とは、人よりも人工知能の方が賢くなる分岐点のことをいいます。もしくは人工知能自体で自己アップグレード可能となり、自己改善を繰り返し、人間の知能を遥かに超えることができるようになる時のことをシンギュラリティと定義付けるケースもあります。
この言葉は 1950年代にはじめてテクノロジー界で用いられ* 、2005年に出版された「シンギュラリティーは近い(レイ・カーツワイル著)」で注目されるようになりました。本著内でシンギュラリティの原則は 39項目にわたって説明されていますが、先日(2017年2月7日)の講演では以下のようにシンギュラリティを説明しています。
人工知能は、2029年頃に言語理解分野で人と同レベルになり、2030年代には脳とクラウドが通信できるようになり、2045年までに私達は今より 10億倍多いインテリジェンスを持つことになるでしょう。それがシンギュラリティです。 by Ray Kurzweil
引用/アメリカのポモナカレッジより* (2017年2月7日)
イメージとしては、ドラえもんや鉄腕アトムのような世界、もしくは悲観的にイメージするとターミネーターのような世界がシンギュラリティ後の社会として想像できます。
2045年問題とは?
img : Small Business Trends
2045年問題、この言葉に明確な定義はなく、一般的にカーツワイル氏が予測するシンギュラリティによる影響を懸念した不安材料のことを指します。
現段階での主な問題点は、以下のとおりです。(個人的見解含む)
- 人工知能が自分で自分をプログラミングして、どんどん性能アップしていく。そして人が理解できる領域を超えて制御不能になるのでは?
- 人工知能が私達の仕事を奪っていくのではないか?
- ターミネーターみたいな不安定な世界が来るのでは?
- 人が死ななくなるのではないか?もしくは生き返らせることも可能に?
- 高度な VR(もしく アバター もしくは アンドロイド ) で性的欲求、精神的欲求が満たされ、子供を産まなくなるのでは?
- 脳がクラウドと通信するようになった場合、プライバシーやセキュリティは大丈夫か? など 一番の不安材料は、人間が人工知能を制御できなくなることで、これについては DeepMind Team(Google)によって具体的な研究が進められています* 。
著名人の発言
img : ソフトバンクニュース
ソフトバンク社長 孫氏
「私たちは人間の歴史の中で最大のパラダイムシフトを見ようとしている。シンギュラリティが近づいている。人工知能は、知識や知性の面だけではなく、人間を追い越すだろう。今世紀がそれが起きるだろう。」
引用/THE VERGE(2016年年6月)
シンギュラリティ大学 元学長 ニール氏
私が心配しているのは人工知能ではなく、人間の愚かさです。
引用/SingularityHub(2016年12月)
DeepMind Team(Google)
我々は、訓練されたAIエージェントを、「ホモエコノス」(経済活動ができる人)として考えることができる。
引用/DeepMind(2017年2月)
トーマス氏(ヘッジファンド・オーナー)*
2016年冬 カーツワイル氏との会食を経て
シンギュラリティが注目されるようになった原因の一つに、イラク戦争(2003 - 2011)があります。 戦闘で負傷した兵士の義足プログラムや四肢麻痺の人も考えるだけでタイピングできるシステム開発など、人々の生活をサポートするための技術開発が精力的に行われ、様々な分野でテクノロジーが進歩しました。
シンギュラリティの世界では、太陽からのエネルギーを吸収し、食事の必要がなくなります。 血液に代わって、ナノボットが酸素を運ぶようになります。 バイオテクノロジーの革命は、死のすべての医療の原因を排除することが可能となります。 ほとんどの器官を再生することができるようになります。 それは細胞一つから新しい臓器をクローン化することにより、再生を実現します。 このような生物の再生プログラムは、カーツワイル氏にとって重要なシンギュラリティ要素になります。
引用/Seeking Alpha(2016年12月)
IBM 東京基礎研究所 所長 福田氏
シンギュラリティは、懐疑的に見ると、誰も起こしたいと思っていない、と思うので、起きないだろうと考えています。
引用/INDUSTRY CO-CREATION(2016年9月)
##まとめ
一昔前に比べると、シンギュラリティに関する著名人の発言は、SF的なものから 人との融和や協調 に視点を当てたものが多くなっているように思います。
これは具体的に、人より人工知能の方が優れていることが立証され、人工知能を使った方が生産性が上がるからと考えられます。計算がそろばんから電卓に変わり、通信が固定電話からスマホに変わった以上のインパクトと生産性があることは間違いないでしょう。
- この記事を書いた人
- オシママサラ