- 更新日: 2021年11月26日
- 公開日: 2020年08月03日
SIerはやめとけって本当?仕事内容や年収、将来性まで徹底解説
『SIer(エスアイヤー)』とは、クライアントの依頼を受けてシステムの企画・開発・運用を一括して請け負う情報通信企業のことです。
IT業界への就職を考えたとき、間口の広いSIerを選択肢に入れる方は多いのではないでしょうか。
しかし、いざSIerについて調べてみると、「ブラックすぎる」「やめておけ」という記事が多く見受けられます。
せっかく就職しようと考えていても、不安になってしまいますよね。
この記事ではその不安を解消すべく、SIerの仕事内容やSESとの違い、気になる将来性についてわかりやすく解説します。
SIerの仕事内容
システム構築に関する工程を一括で請け負い、クライアントの要望に沿ったシステムを提供するのがSIerの仕事です。
【システム構築の工程】
・企画
・要件定義
・設計 / 開発
・保守 / 運用
様々な経験ができそうに思えますが、実際は企業の規模によって携われる工程が変わります。
上流工程である企画と要件定義は大手SIerがおこない、下流工程の開発と運用は、大手SIerから委託された中小SIerが請け負うケースが多いです。
どんな業務に携わりたいか、どんなスキルを活かしたいかは、就職するSIer企業を選ぶうえで重要な判断基準となります。
SIerに求められるスキル
続いて、SIer業界で求められるスキルを確認しておきましょう。
[中小SIerならプログラミングスキル]
中小SIer企業に就職したい場合はエンジニアとしての役割が大きくなるため、プログラミングスキルが必須です。
使用するプログラミング言語は、携わる工程やプロジェクトによって変わります。
・フロントエンド開発言語(HTML / CSS / Javascript)
・バックエンド開発言語(Java / C / C# / VB / COBOL / SQLなど)
フルスタックエンジニア(フロントエンドとバックエンドを兼任するエンジニア)として業務にあたるSIer企業もあるので、目指す企業が定まっていないなら、より多くの言語を習得しておくと就職に有利です。
[大手SIerならヒューマンスキル]
大手SIer企業ではプロジェクトマネージャーとしての役割が大きくなるため、ヒューマンスキルが求められます。
・コミュニケーション能力
・マネジメント能力
・スケジュール管理能力
主な仕事となる企画と要件定義において、クライアントの要望を的確に把握するためのコミュニケーション能力は重要なスキルです。
また、適材適所に人材を配置し、問題を把握・解決しながら円滑にプロジェクトを進めていくマネジメント能力、各業務の進捗管理をして納期を厳守するためのスケジュール管理能力も求められます。
これらに加えてプログラミングスキルもあわせ持っていれば、進捗管理や業務指示もしやすくなるので、即戦力として重宝されるでしょう。
SIer企業の種類
SIer業界は4つの系統に分類されています。
①ユーザー系SIer
『ユーザー系SIer』とは、金融機関や商社などから独立したSIer企業を指します。
ユーザー系SIerの主な仕事内容は、親会社から受注した案件のシステム開発や構築、保守や運用構築です。
業界や企業は絞られますが、親会社やグループ会社からの安定的な受注が見込めます。
他社へ派遣されることがあまりないため、ひとつの場所で集中して働きたいと考える方におすすめです。
【企業例】
②メーカー系SIer
『メーカー系SIer』とは、ハードウェアメーカーやコンピューターメーカーから独立したSIer企業を指します。
親会社は大企業である場合が多いです。
系列企業の製品を使用しての開発がメインとなるため、特定のツールに関する知識が身につき、専門性を高めやすい特徴があります。
親会社が開発したハードウェアを利用している他社の案件も受注します。
【企業例】
③独立系SIer
『独立系SIer』とは、親会社を持たない独立したSIer企業のことで、自社で営業からシステム構築まで一貫しておこないます。
指定がなければ使用する製品を選択できるため、他のSIerと比べて自由度が高いのが特徴です。
親会社からの受注やバックアップがないぶん高い営業力が求められますが、幅広い業務に携われるのは大きなメリットと言えます。
【企業例】
④外資系SIer
『外資系SIer』とは、海外に本拠を持ちグローバルに活躍する大手企業のことです。
給与が日本IT企業に比べて高く、国をまたいだ大規模プロジェクトに参画できる点が魅力です。普段の業務は英語でのやりとりが多いため、英語力が求められます。
日本企業の年功序列制度とは違い、外資系企業は能力・成果主義なので、若くして重要な役職につくケースも珍しくありません。
「能力さえあれば学歴や年齢は関係ない」と言えば聞こえはいいですが、成果次第では簡単にポジションを落とされるシビアな世界でもあります。
【企業例】
SIerとSESの違い
SIerとSESは報酬対象や勤務方法に違いがあります。
【SIer】
・成果物に対して報酬が発生する
・制作に関わった人数に関係なく、成果物が報酬の対象となる
【SES】
・時間に対して報酬が発生する
・一定の期間や人数に応じてエンジニアが雇われ、企業に出向する
企業がシステム開発を外注する際、自社にITの部署がない場合はSIer、IT部署はあるが人員が足りないという場合はSESに依頼します。
企業から案件を受注したSIerが、一部の業務をSESに外注するケースも多いです。
SIerの年収と将来性
dodaの『平均年収ランキング 最新版【業種別】』によると、SIerの平均年収は約461万円です。
男女別で比較すると、男性の場合は約484万円、女性の場合は約394万円となっています。
この年収は企業によって大きく差があり、ユーザー系やメーカー系の大手SIer企業は年収が高い傾向です。
独立系は年収が低い傾向が見られますが、スキルや経験によっては高い年収を出す企業もあります。
平均年収でいうとそれほど魅力的ではないかもしれませんが、SIerは将来性のある業界です。
これまでITとは無縁だった企業が、社内のIT化を推進して時代についていくためには、SIerの存在が必要不可欠と言えます。
今後ますます拡大するIT市場に比例して、SIerの需要も高まっていくでしょう。
しかし、需要があるからと言って、就職したら安泰というわけにはいきません。
IT市場は変化が目まぐるしく、最近ではクラウド専業のSIer(CIer)企業なども出てきています。
市場の変化に対応するためには、SIerの将来性の高さに甘んじることなく、知識や技術をブラッシュアップし続ける姿勢が大切です。
また、SIer業界は転職をしながらキャリアアップや年収アップを叶えていくケースが通例となっています。
在籍している企業で任されている業務以外の勉強も積極的におこなっておくと、より好条件での転職が可能です。
SIerは辞めるひとが多い?理由は?
厚生労働省の『令和元年雇用動向調査』によると、IT業界全体の離職率は11.8%となっています。
IT業界全体の数値ではありますが、他の業界と比べても決して高い水準ではありません。
それでもなぜSIerはブラックと言われているのか、なぜ辞める人が多いとされているのか気になりますよね。
SIerを辞める”ネガティブな理由”と”ポジティブな理由”を、それぞれまとめてみました。
【SIerを辞めるネガティブな理由】
・携わる工程が多くて忙しい
・客先常駐の大変さを知らなかった
・開発をやりたかったのに企画がメインの企業だった(逆の場合も)
自己分析や企業リサーチができていれば、避けられるものばかりですよね。
「こんなはずじゃなかった」という事態を避けるために、事前準備は徹底しておこないましょう。
【SIerを辞めるポジティブな理由】
・もっとプログラミングを活かせる職種に転職したい
・システム構築全般に関われるSIer企業で働きたい
・グローバルに活躍したい(独立系SIerから外資系SIerへの転職など)
事前準備を徹底的におこない、納得して就職した企業であっても、自身の成長や考え方の変化によって、その環境が物足りなくなってしまう場合があります。
同じSIer業界でキャリアアップと年収アップを目指しての転職はもちろん、エンジニアやITコンサルタントとして別業界へ転職するケースも多いようです。
SIer業界に就職するメリット
デメリットが取り上げられがちなSIerですが、メリットもたくさんあります。
【SIer業界に就職するメリット】
・若いうちにリーダー職(プロジェクトマネージャーなど)を経験できる
・様々な業界のプロジェクトに携われる
・トラブルの対応や進捗管理などのマネジメント能力を習得できる
・コミュニケーション能力が鍛えられる
必要にSIerは常に多くの案件を抱えているため、若いうちからリーダー職を経験する機会に恵まれます。
また、様々な業界の案件を通じて得られる、幅広い知識と経験も大きな財産です。
SIer業界で培った経験やスキルは、のちのち転職する際にも大きなアピールポイントとなります。
\Webサイト担当者としてのスキルが身に付く/
まとめ
IT業界への入り口として人気がありながら、悪い噂も多々あるSIerについて解説しました。
「SIerはやめとけ」と言われている理由は、自己分析と企業のリサーチなどの事前準備を徹底的におこない、入社後のギャップを小さくすることで解決できるものばかりです。
SIerの特徴と仕事内容をしっかり理解し、自分の能力が最大限に発揮できる企業を選びましょう。
SIerへ就職するためにプログラミングスキルを身につけたい方、就職相談をしたいという方は是非Code Campへ!
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- この記事を書いた人
- 高田ナツコ