- 更新日: 2018年11月15日
- 公開日: 2017年05月08日
82歳にしてSwiftでアプリ開発からリリースまで!スーパーシニアがいると聞いてお話を伺ってきた!
突然ですがあなたは「プログラミング」と聞くとどんなイメージが浮かびますか?
- パソコンに強い特別な人がやっている
- ずっとパソコンに向かっている
- 比較的若い人がやっている
など、多くの方が同じようなことを思い浮かべるのではないでしょうか?私もそうでした。ゆとり世代の文系として育ち、特にスキルもない。ましてやプログラミングなんて...
そんな時耳にした「82歳のシニアプログラマーがいる」という信じられない話。シニアプログラミングネットワーク #1と題し登壇者3名の平均年齢が77歳の「史上最高齢のITイベント」があると聞いて行ってきました!
もう「プログラミングなんて私には無理」なんて言えないような内容でしたので、来ることが叶わなかった、イベントを知らなかった方に82歳のシニアプログラマー「マーちゃん」こと「若宮さん」がどのようなきっかけで開発からリリースまでに至ったをお伝えできればと思います。
会場は若い方からシニアの方まで100名程度来ていました!
登壇者の平均年齢77歳!
もう1度言っておくと、今回のイベント登壇者の平均年齢は77歳です。「プログラミングがこれから必要」と叫ばれ2020年には義務教育にも取り入れられることが決まっている。
しかし多くの人が「自分にはあまり関係ない」「今さらチャレンジしても習得できるものではない」などとどこかで思っているのではないでしょうか?私もそんなことを思う中で82歳にしてアプリを開発、リリースしている方を目の当たりにした時、私は言い訳できない気分になった。
82歳のシニアエンジニア:若宮さん
写真右手が若宮さん。左手が若宮さんのプログラミングメンターであり、今回のイベント主催者でもある小泉勝志郎さんです。2人は震災の支援活動で知り合ったそう。しかし小泉さんは宮城に、マーちゃんは神奈川にいるためfacebookメッセンジャーやSkypeを使ってプログラミングを小泉さんに教わったとのこと。
昨年の夏からXcodeでアプリ開発の勉強をはじめました。
くどいようだが若宮さんは82歳のエンジニアです。去年の夏、81歳でXcodeを使ってiPhoneアプリ開発を学習し始めた1935年生まれ。とんでもない。
元々はエクセルアーティストとしてエクセルを使った非常に高度な絵をたくさん書いていたそうで、パソコンには慣れていたそうですが、プログラミングを始めたのは正真正銘81歳の夏とのこと。
参考リンク:マーちゃんのページ
若宮さんがアプリ開発することになった
若宮さんが雛飾りを並べるiPhonアプリhinadanをリリースしたのは81歳の時。どんなきっかけでアプリをリリースしたのか?それにはメンターの小泉さんと以下のようなやり取りがあったそう。
若者がやるアプリをシニアがやっても楽しくないし若い人とゲームをやると必ず負けてしまってつまらない。小泉さん!年寄りが勝てるゲームを作ってください!
この時点では、
だったそうです。そこで小泉さんが言った言葉がこちら。
私が作っても対して話題にならないけど若宮さんが作ったら超話題になりますよ!
上記やりとりから少しして小泉さんの誕生日に若宮さんからfacebookでお祝いをもらった1ヶ月後、実際に1度会って本格的に進めて行くことになったそうです。
下記が小泉さんの誕生日に若宮さんがコメントしたスクリーンショットです。81歳の方がfacebookで友人の誕生日をコメントしている中で「Swift始めました」という、なんだかとんでもないことをおっしゃっています。
開発するアプリを実機で試すためにiPadとiPhoneまで買ってしまったので、もう、後に引けないなという感じでした。
と話していました。
小泉さんによる指導方法
先程も少し触れたが藤沢(神奈川)と塩釜(宮城)を遠隔で教えていたとのこと。
今回の事例における指導のコツ
今回は半年間、しかも遠隔というの中で何故アプリリリースできたかというとゴールが明確になっていたからです。いかにして3月3日のひな祭りまでにリリースするかだけを考えました。
反対意見は多そうですが、今回のリリースで使わないことは教えないという方針を貫くことで短期間の学習期間からリリースまでを行うことができたそうです。
今回は配列を使えば効率的にできたのですが、「配列を教えて、わからない点を挙げてもらって理解してもらって実際に使ってもらう」というのはさすがに時間がなかったので教えませんでした!
本当に若宮さんがプログラミングしてアプリ開発をしたのですか?
よく、「本当に若宮さんがプログラミングしたの?」と言われますが、Skypeに関しては全講義録音しています。
よく言われることのようですが、Skypeに関しては全講義録音することで本人が学習した証明としているそうです。失礼ですが、実際は小泉さんがプログラミングして、若宮さんはアプリの案だけ出したのでは?と思ってしまう人もいることは予想できます。ですが実際に若宮さんがやっているそうです。
小泉さんが若宮さんを指導する中で勉強になったこと
お年寄り向けのUIは勉強になりましたよね!「hinadan」のアプリ内でひな壇を並べていくんですけど、普通だったらドラッグ&ドロップでやると思うじゃないですか!?
駄目です。お年寄りはドラッグ&ドロップできません!指が震えます。
お年寄りはタップすると長押ししてしまうんです。って気づきましたね。あとは「hinadan」を開くと注意書きで「軽くポンと叩いてください」って出るんですよ。お年寄りってタップすると長押してしまうんですよ!今時のアプリって長押しすると別メニュー出てくるのが多いので、こういうのはお年寄りに使いづらいんだって、若宮さんと話していて気づきました。
若宮さんが初めてのiPhoneアプリを作って大変だったこととは?
Macは初めての経験だったので大変でした。3月3日のひな祭りまで半年しか時間もなかったですし、途中原因不明のパソコントラブルで1ヶ月間挫折したので3,4ヶ月程度の学習でリリースすることになりました。レイアウトももちろん大変でした。
海外旅行が趣味だという若宮さんは英語に拒絶反応がなく、リリースの際にApple側と英語でやり取りする必要がある際は
Google翻訳で訳してアプリの申請などのやりとりを行っていました。
とのことでした。すごいですね。
「hinadan」を公開できて嬉しかったこと
87歳の方が若い人にゲームで勝てたということを聞いた時は嬉しかったです。あとはCNNや海外のメディアに取り上げられたことで思いがけず「ひな祭り」という日本の伝統文化を海外の方にお伝えできたことです。
他には、母、本人、子供と3世代に渡って楽しめるゲームを作れたことが非常に嬉しかったです。
と話していました。
hinadanの現在
若宮さんが開発した「hinadan」は総ダウンロード29,500件。ビューの数は75万件を突破したそうです。(イベント時には76万件)
今後もシニア世代がスマホを使うようになっていけば、私達若い世代における「Google map」などのように必ず持っているアプリになりそうですね!
若宮さんのこれから
イベント後に懇親会が行われ、今後の展望について若宮さんに聞いてみました!
今後は日本の伝統文化を発信出来るようなアプリを作りたいです。また夏頃からSwiftの勉強をもっとしようと思います。
と話していました。 また、3,4ヶ月という爆速リリースできた理由について聞くと、
小泉さんがマンツーマンで教えてくれたことが一番大きかったです。マンツーマンレッスンなしでは絶対に無理でした。
とマンツーマンレッスンが若宮さんにとって非常に大きい力になったことを教えて下さいました。
ツーショット撮ってもらいました。活き活きしてますね!
\Webサイト担当者としてのスキルが身に付く/
まとめ
82歳ながらも活き活きとプレゼンし、今後も学習意欲を見せられる若宮さんに圧倒されてしまいました!「すごい」という言葉以外出てきません。
最後に今回のセッションのポイントをまとめておきます。
- 81歳でプログラミングを始め、半年の爆速リリースを行った若宮さん(現在は82歳)
- 開発した大きなきっかけは「若い人に勝てるゲームを作りたかったこと」
- 学習方法はオンラインによるマンツーマンレッスン。マンツーマンでなかったら半年でのリリースは不可能だったとおっしゃっていました。
- 初めてのアプリ開発で大変だったことは、Macを初めて触ったことと時間が無かったこと。
- 開発してよかったことは、「海外に日本の文化を発信できたこと」「87歳の方が若者にゲームで勝てたのを聞いたこと」などとおっしゃっていました。
- 今後は「日本の伝統文化を海外に発信できるアプリを作成したい」とのことで今夏からSwiftの学習をもっと深めていくそうです。
「シニアプログラミングネットワーク #1」は語尾に「#1」がついています。もちろん次は「#2」「#3」と続いていきます!
と主催の小泉さんはおっしゃっていました。今後シニアの方がプログラミングを趣味とし、自分の生活を改善するためのアプリを開発、リリースする日も近いのかもしれません。
82歳の方でもプログラミングをしているという事実にとても刺激を受け未来を感じることの出来るイベントでした。
若宮さん、小泉さん、貴重なお話をありがとうございました!
今回のイベント概要:シニアプログラミングネットワーク #1
facebookページ:シニアプログラミングネットワーク
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