サービス作りへの”貪欲さ”がエンジニアを成長させる -ピクシブCTOが採用で意識していること


サービス作りへの”貪欲さ”がエンジニアを成長させる -ピクシブCTOが採用で意識していること

”非エンジニアが聞く「エンジニア採用」のリアル”の第5回目は、ピクシブ株式会社のCTO高山温(@edvakf)さんへのインタビューです。福岡への移住でも話題のCTOは採用で何を意識しているのか。JavaScriptへの愛もわかるインタビューです!


高山温さんプロフィール:
イギリス・カナダへ留学するも、ウェブの世界に飛び込むために大学院を中退して2012年にピクシブへ入社。
pixiv全体を統括する開発リーダーや、pixivコミックアプリのプロダクトマネージャー、社内の技術的イニシアティブを取るリードエンジニアを経て、2016年に執行役員CTOに就任。
2017年6月には福岡オフィスの立ち上げメンバーとなる。
ピクシブでは主にPHP、Ruby on Rails、Scalaでのサーバーサイド開発を担当。
2016年にはウェブエンジニアの祭典・ISUCONの本選問題を出題。


【コーポレイトサイト】ピクシブ株式会社


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目次
  1. CTOとして課題解決に向けた「しくみ」作りへ集中
  2. JavaScriptを好きになりプログラミングを覚えた大学院時代
  3. 自分が欲しいと思ったらなんとしてでも作り出す”貪欲さ”を評価する
  4. 強みを大切にして”作りたい”という思いを伸ばすマネジメント

CTOとして課題解決に向けた「しくみ」作りへ集中

-- 本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今の事業内容と担当業務についてご説明いただけますか。

ピクシブ株式会社は2007年からpixivという巨大なSNSを運用していて、社内でもpixivに関わる人員が最も多いです。

その他にもpixivコミックというコミック総合サイトだったり、BOOTH(ブース)というクリエイター向けのECサービスなど複数のサービスを運営しています。 BOOTHと連携してイラストをアップロードするだけでグッズが作れるpixivFACTORYだとか、いろんなことをやっています。

私はpixiv開発のリーダーなどを務めた後、ある時からpixivコミックに関わるようになりました。そしてpixivコミックが成長していくにつれて、私自身へも大きな挑戦をということで2016年12月からCTOへ就任しました。

-- 元々の働きかたとCTOになってからでの違いはありますか。

CTOになってからは、自分でコードを書くよりもpixivでの技術的な課題に対してどういう「しくみ」なら解決できるのか考えて実行するということをやっています。

ただ、私はこれまでも自分の役割を定義せずに何でもやってきましたし、いろんな技術チームにもこれまで通り首を突っ込んでいったりしますが(笑)

-- 昨年の社内インタビュー(pixiv inside の記事へ)では、今後は組織作りをやっていきたいと答えられていました。

そのインタビューの時には「VP of Engineering(以下、VPoE)」がいなかったのですが、今は小芝敏明がVPoEとして組織作りを担当しています。 小芝はピクシブで開発マネージャーを勤めてからアニメイトラボという企業でCTOを勤めたのち、この2月からピクシブに戻ってきたエンジニアです。

戻ってきたタイミングで開発組織や人に関する問題解決は託して、私は技術に関する問題解決に取り組むという分担になっています。

-- 問題解決というと、どういった取り組みをされているのでしょうか。

例えば、エマージェンシーフローを定めてシステムを改修して夜中に不要に起きなくても良くしたりです(笑)

技術的問題といっても、コードを書くことで解決できることもあれば、組織レベルで解決しなければいけないこともありますし、業務フローのような「しくみ」を作って解決するようなこともあります。そういった大きな観点での技術仕事をしているつもりです。

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JavaScriptを好きになりプログラミングを覚えた大学院時代

-- 高山さんがピクシブへ入社されたきっかけを教えていただけますか。

大学院時代にJavaScriptが好きになって、JavaScriptの情報をずっと追っかけていました。そこからエンジニアの知り合いができて、何人かとご飯食べに行って仲良くなっていくうちにWeb系の会社で働きたいという思いが強くなりました。

大学院はWeb系とは全く違う物理学の分野だったんですが中退して飛び込んで行きました。

-- 大学院時代にプログラミングのご経験はあったのでしょうか。他分野からJavaScriptに興味を持つというのは面白いですね。

多少、研究に必要なぐらいは書いていましたが、本格的に始めたのは大学院時代の23才頃からです。

当時はWeb標準が話題になっていて、Web標準に対して発信力のある人たちがカッコよく見えました。そこから自分も最新のものに触れたいという思いが芽生えましたね。

-- 20才を超えてからですとどちらかというと遅咲きになるのかなと思います。プログラミングスキルを身につける上でのアドバイスはありますか。

JavaScriptはあくまで好きで続けていたものですが、もしこれからスキルを身につけるなら、ライブラリを使わずに作ってみるのは良いかもしれません。

大学院時代には、ライブラリを使えば簡単にできるようなことでも、使わなかったらどういうコードでどういう動きになるのかを確認していました。

そうした深堀がスキル習得に役立ったように思います。

-- CodeCampのカリキュラムもフレームワークを使わずにコーディングするという内容になっています。その方がしっかりとスキルが身につくのかもしれませんね。
-- ちなみに、プログミングを覚えたばかりでWeb業界に飛び込んで不安はなかったのですか。

それまでやってきたこともあるので、根拠のない自信みたいなものはありましたね(笑)

私はJavaScriptというものを突き詰めていったので、自分の強みが明確でした。 そこから、なんとなく自分のやってきたことが活かせるだろうな、という思いはありました。

何か一つスペシャリストになれば、不安も薄まるのではないでしょうか。

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自分が欲しいと思ったらなんとしてでも作り出す”貪欲さ”を評価する

--では御社について伺います。今は社員が150名ほどいらっしゃるということですが、そのうちエンジニアは何名でしょうか。

約80名ほどです。

弊社では「エンジニア自身が欲しいもの」を作ることで良いサービスが出来たという経緯があります。 そのためエンジニア比率が高いですし、エンジニアを大事にもしています。 本年度の新卒も17名のうち3分の2はエンジニア採用です。

ただ、人の数だけやりたいことは増えてくるので、まだまだ手が足りてない状況です。

-- 新卒採用のフローを教えていただけますか。

エンジニアや人事メンバーが混じった採用チームがあり、そのチームが書類審査や2回の面接を行います。

その後、5日間ほどインターンとして実際に来てもらい、プロジェクトに参加してタスクをやってもらいつつ社員と交流してもらいます。 そこで是非来て欲しいということになれば、最終面接に進みます。

インターンでスキルはチェックできているので、最終面接はどちらかというと人柄だったりスキル以外を見ています。

-- 中途採用はどういったフローなのでしょうか。

中途採用のリファラル採用であれば短期間で決まることもあります。

かっちりとした場での話だけではなく、お酒を飲んだり食事に行ったりしてお互いの考え方にズレが無いかを確認し合うこともやっています。

-- お互いのことをしっかりわかった状態でオファーを出すという感じですね。
-- 弊社の受講生には転職を希望される方も多いのですが、中途採用時にチェックするポイントはありますか。

技術のことは、難しくても答えが見つかることが多いと思っているので、 やりたいことや作りたいものに対してどれだけ突き詰められるかというのは気にしてます。

貪欲さ、と言えるかもしれません。

会社としても、技術的に難しいそうだからといって挑戦しなかったり、出来るかもしれないのに諦めてしまったりといったことがないようにしたいと考えています。

-- 気持ち以外では「技術力」を見られると思うのですが、高山さんとしては「技術力」とはどういうものであると考えていますか。

先ほども言ったように、何か作らないといけなかったり解決したい問題があったりする時に、これは出来ないよというだけではなく解決できる方法を思考錯誤してできる方向に持っていく人は「技術力」があると言えるのでは無いでしょうか。

また、今年の新卒を見ても、それぞれの「強み」があってリスペクトできるメンバーばかりです。

新卒でも、何か一つ尊敬できることがあると任せてもらえることができて、結果として活躍しやすいので「強み」を持つというのも大事だと思います。

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強みを大切にして”作りたい”という思いを伸ばすマネジメント

-- いろんな「強み」のある方を採用されているんですね。
-- そうした方たちを活かすチーム作りにおいて意識されていることはありますか。

ピクシブでは、上からのああしようこうしようという指示よりも、エンジニアが自発的に良いとおもったものを検証することを良しとする文化があります。

大きな方針はトップダウンで示すにしても、プロジェクトがスタートしたら、ユーザー調査をしてプロトタイプを作ってこういうのは受けるこういうのは受けないという判断をするのはチームのメンバーです。

エンジニアからの提案を積極的に採用することで自分たちのサービスだという意識が芽生えますし、チーム間の垣根もなくなり、担当しているものだけではなく全てのサービスが自分たちのものだという考え方にもつながってきます。

チーム間の連携で言えば、週1回、全社員での共有の場を作ってどのチームがどういうことをやっているのかをだいたい把握できるようにしています。

全員が会社全体を把握できるように、正直かなりコストをかけていますが、忙しいチームを助けようという話が出たり改善提案をしたりすることで垣根を払拭することにつながっていると思います。

-- 個人の育成で気をつけられていたことはありますか。

振られた仕事だけをやるのではなく、自分で仕事を取れる人になることと、積極的にチャレンジしてもらうことを意識しています。

エンジニアとしてスキルが上がれば上がるほど、問題の難易度もクリアに見えてきます。

ただ、難しいことがわかっているからといって出来ることだけやってもらうのではなく、今までやったことなくても「やってみたら」と言うんですね。

-- 難しいことに対してやってみようよと。

やってみたらできちゃったりもするんですよ。

一見どうやるかわからない、難しいかもしれないというものであっても1回設計図引いてみる。 もしくは、1日コード書いてみる。

そうすると「あれっできそうだぞ」ってなったり、ということもありえます。 そうやって気持ちを解きほぐしていって、挑戦を促しています。

-- マネージャーの中には、どうしてもマイクロマネジメントしたがる方もいます。

そこはせめぎ合いもありますが(笑) 自由にさせたからこそ伸びるものがあります。

CTOであっても、誰が言い始めたかっていうのは問わず「お前がやりたいんだったらやってみればいいよ」と任せるのは続けようと思っています。

-- それでは最後に、ピクシブで働く良さを教えていただけますか。

志願すれば、幅広くやらせてもらえたというのはすごく良い環境だと思います。

私自身、入社してからいろんなことをやってきました。 バリバリコード書いてた時もあるし、チームリーディングをしたこともあるし、 プロダクトを伸ばすという観点でプロダクトオーナー的なことも経験しました。

ピクシブは一つ一つのチームが小さいので、オーナーシップを持って活躍したい、自分の力で大きな変化を生み出したいという方にはとても良い会社だと思います。

-- 本日はありがとうございました。次の方をご紹介いただけますか。

株式会社Speeeの是澤太志さんへお願いします。

-- 本日は、非常に良いお話をありがとうございました。

ありがとうございました。

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(ピクシブさんの入口フロアには色々なクリエイターが描いた絵馬が飾られています。超有名漫画家のものも!)


(インタビュアー・構成:藤本大輔)


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