500名のエンジニアを「自己組織化」させる - CTOが語る「ビジネスのDMM」から「テクノロジーのDMM」への進化


500名のエンジニアを「自己組織化」させる - CTOが語る「ビジネスのDMM」から「テクノロジーのDMM」への進化

”非エンジニアが聞く「エンジニア採用」のリアル”の第8回目は、株式会社DMM.comラボ 取締役 兼 CTO 城倉和孝さんへのインタビューです。多くの新サービスを生み出し変化する組織のエンジニア採用では何を重視すべきなのでしょうか。ぜひお読みください。


城倉和孝一さんプロフィール: SIerにてプロダクト開発や事業開発など多岐にわたり従事。 その後、自身が立ち上げた事業での分社化を実現したのち、 2011年12月に DMM.comラボへジョイン。

【サービスぺージ】https://www.dmm.com/


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目次
  1. 自立した組織作りのための取り組み
  2. 若手エンジニアは「T字型人材」を目指すべき
  3. エンジニア主導でのサービス作りを目指して進化を続ける

自立した組織作りのための取り組み

-- 本日はよろしくお願いします。まず、今の業務内容について教えていただけますか。

株式会社DMM.com(以下、DMM.com)が提供しているサービスのシステム開発やインフラネットワークを請け負う開発部隊が、株式会社DMM.com ラボ(以下、DMM.comラボ)です。 私はDMM.comラボの取締役 兼 CTOとして技術面から事業をサポートしています。

-- DMM.comラボはDMMグループにおける開発部隊という位置づけでしょうか。

はい、エンジニア、デザイナーなど開発に関わる社員はDMM.comラボに所属しています。現在はDMMグループ内で組織改革が進んでおり、これまで職種ごとに異なる所属だったもの(エンジニア、デザイン、ディレクターなどが職種ごとに部署を構えているイメージ)を、プロダクトへの所属で統一し、よりコミットするためにはもっと小さく自立した組織がいいだろうと考え、事業単位でエンジニアの配置換えをおこなっています。

DMM.comとDMM.comラボの社員は普段から机を並べて仕事をしているので、同じチームメンバーとして、DMM.comは企画や営業など事業推進を担当、DMM.comラボはエンジニアリングを担当、ぐらいの感覚です。

-- 組織サイズを小さくすることで、自立を促したわけですね。

自立や自走の一環として、スクラム開発も導入しています。スクラム開発を定着させて自発的にプロダクトを改善する組織となるようなサポートもおこなっています。

-- いろいろな取り組みをされていると思いますが、城倉さんの今の最重要ミッションはなんでしょうか。

今一番大きなミッションは「採用」です。新卒採用イベント参加や、学内説明会、高専プロコンに審査員として参加もしています。中途採用では新規事業やM&Aに伴う増員、リファラル採用、ダイレクトリクルーティングなども含め、採用戦略をみています。エンジニア採用は超売り手市場で、優秀な学生やエンジニアはどうしても市場ニーズが高いため、出来るだけ直接コミュニケーションをとってDMMの良さを伝えられるよう心がけています。

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若手エンジニアは「T字型人材」を目指すべき

-- エンジニア採用はどの企業でも重要な問題ですね。その重要な採用が決まった後、育成について貴社はどんな取り組みをされていますか。

新卒社員へは3ヶ月ほど基礎研修をおこなっています。そこで社内で使っている言語とネットワークなどを覚えてもらいます。また、複数人での開発に慣れてもらう必要があるので、デプロイやコード管理もやってもらっています。

私は、若いエンジニアによく「T字型人材」であれと言っています。

若い時はどんどんコードを書いて自分の得意なスキルを伸ばしていくことも必要ですが、横に広げていくことも重要です。

これまでやったことがない技術や分野であっても、自分で勉強して基礎知識を持っていれば担当者として選ばれる可能性もあります。そうすれば、実務経験を積みながら成長することもできます。ただ、まったくなんの知識もないとなると最初から選択肢に入らず、成長のチャンスを逃すことになります。

好奇心を忘れずに、ある種フルスタック的な横に広げる活動もやりながら、得意分野の深さも追求していく姿勢が大事だと思います。

-- 今エンジニアが何名ほどいらっしゃって、年間では何名採用されていますか。

DMM.comラボには約500名正社員のエンジニアがいます。そのうち、ゲーム以外が300名ほどです。新卒は年間では30名ほど採用しています。

-- かなりの人数ですが、採用する時に気をつけているポイントはありますか。

純粋に技術が好きであることは外せない軸だと思っています。あとは、仕事ができたとしても、チームとして仕事をする中で周囲に良い影響を与えてくれるかどうかです。

例えば、勉強会へ積極的に参加して学んだことを社内で共有してくれたり、新しい技術が出てきた時に働きかけをしてくれる方や、プラスの発言ができる方です。

エンジニアは論理的な方が多く、今後のリスクを考えるがあまり、否定から入る人が多いように思います。

同じリスクを考えての発言でも、相手にマイナスの受け取られ方をしてしまう「できません」「反対です」の一言ではもったいないですよね。否定や批判は誰でもできますが、問題解決までのプロセスを考え、「こうすればできます」というプラスの発言が出来るような前向きな方だと嬉しいですね。

-- 積極性は裁量や権限とも関係しています。エンジニアに対してどのような責任分掌をされていますか。

事業部門では売上というKGIを持っているのに対して、開発部門でも会員登録数などのKPIを持っています。エンジニア自身でKPIを達成するための施策や手段が取れるよう、エンジニアドリブンで物事が進められるような体制作りをすすめています。

例えば、サービスで使う技術や言語も現場が選んでいます。

昔はPHP、Javaが多かったのですが今はRubyやGO、Node.jsを使うものもありますし、担当するエンジニアが最適だと選んだものを使っています。必要なのは「なぜその言語を選んだのか」なので、その説明責任が果たせれば使っていいんじゃないかという考えです。

-- 説明責任さえ果たせば自由に選べるというのはいいですね。このTech2GOブログを運営しているCodeCampでは未経験者にプログラミングを教えています。エンジニアとしてスキルアップする、学習するためのコツのようなものはありますか。

エンジニアには知的好奇心。知りたい、やってみたい、という気持ちが絶対に必要です。 もう、これがなくなったらおしまい(笑)

もっと綺麗に書くためにはどうするかを考えて、先輩に聞いたりソースコードを覗いてみたり、好奇心を持って楽しんでやることで成長出来るんじゃないでしょうか。

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エンジニア主導でのサービス作りを目指して進化を続ける

-- エンジニアの果たす役割について伺わせてください。貴社では経営者が変わる(※)という大きな変化がありましたが、エンジニア側への変化はありましたか。(※2017年1月にPixiv創業者の片桐氏が社長に就任)

大きな変化はないのですが、さらにエンジニアや技術を中心としたサービス作りが必要になってくると考えています。自走できる組織作りもスクラム開発もそうした文脈の中で取り組んでいることです。

亀山は、商売の神かなと感じるぐらい優れたビジネスモデルやコンテンツを作ることに長けています。ただ非インターネット系のビジネスも裏側はエンジニアが支えていたりしますし、これからはどんな業種でもテクノロジーが中心になっていくはずです。

現社長の片桐は、テック企業のM&Aを成功させたり仮想通貨事業やAIに力を入れたりと技術よりの経営者です。DMMが成長を続けるためには、今よりもテクノロジーや技術でサービスを引っ張っていく組織に変わる必要があります。そのためにもエンジニア主導でどんどんサービスを作っていこうと考えています。

-- それでは最後に城倉さん自身が思う、DMMやラボで働くことの良さを教えてください。

まず、今までで経験した仕事環境のなかで一番面白い、退屈しません。

普通、企業が成長していくとマネジメントドリブンになって動きが遅くなってしまいます。

今DMMは売上が二千億円くらいなんですが、亀山は「売上が二兆円で利益ゼロ円の企業を目指そう」というんです。

利益は次の事業に投資して会社を大きくしていこう、事業をそだてて未来につなげていこうという姿勢があるからDMMは常に課題を発見して進化できているし、退屈しないんだと思います。

-- 成長のための投資をしっかりと続けていって新しい事業が生まれることで退屈もしないんですね。では次の方をご紹介いただけますか。

次は株式会社エウレカの取締役CTO 金子 慎太郎さんをお願いします。

-- 本日はありがとうございました。

ありがとうございました。


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CodeCampus編集部
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