技術の進化により、日本の経営者はITを正しく、深く理解しデジタル変革を牽引することが求められています。GAFAや中国のIT企業に牽引されるAIの実用化や、世間を騒がせる情報漏洩などのセキュリティリスク対策など、ビジネスとITは切り離せない存在です。
今回は、官僚時代に電力自由化や企業再生支援機構でJALの経営再建などを手がけ、現在はファンドの経営者を務める川本 明氏に、CodeCampのプライベードレッスンを通じて得た学びや、経営者がITを学ぶ意義についてコードキャンプ代表の堀内と語っていただきました。
今回、川本様にご受講いただいたコースはこちらです。https://codecamp.jp/courses/techliteracy
経営者こそテクノロジーを学ぶべき
ーー(堀内)本日はよろしくおねがいします。川本さんはコードキャンプのグループ企業(フューチャー株式会社)の役員を務めていらっしゃるので以前から面識はあったのですが、ご自身から直接受講を申し込まれていて驚きました。
今回は経営者や管理職の方向けのITリテラシー講座をご受講いただきましたが、このタイミングでITやプログラミングを学習しようと思われたのはどんな背景があったのでしょうか。
※川本氏はコードキャンプ株式会社のグループ会社(フューチャー株式会社)で社外取締役を務めています。
(川本氏)私が経営に携わるファンドは、ここ2,3年はデジタル領域に注目して投資をしています。投資家として企業の目利きはできても、テクノロジーへの理解には以前から不安がありました。
デジタル時代における投資先のビジネスの成長可能性を十分に理解することができないのはまずいという危機感があり、効率よく学習する機会を求めていたんです。
そこで、CodeCampにプログラミングやIT領域のリテラシーを高めるためのプライベートレッスンがあると知り、受講を決めました。
これまでプログラミングについての学習経験はなかったわけですが、手触り感をもってテクノロジーを理解したいという思いは強く、またこのまま悩んでいても何も変わらないと考え、新しい学びに飛び込みました。
オンライン学習の利便性を体感
ーー新しいことへの感度が高い経営者の方々も、同じように問題意識を持って学習されていますね。これからはITを正しく理解することなしにビジネスを成長させることはできないと認識されているようです。
CodeCampでは、忙しい経営者の方のためにオンラインでのプライベート・マンツーマンレッスンという形でご提供させていただいていますが、実際に学習に取り組んでみていかがでしたか。
学習時間を確保するために、GWに入ってから本格的にレッスンを受け始めました。まずは時間がない、忙しいことを言い訳にしないようにしようと。
多く講師がいる中から、自分が気になった方を選んでオンラインでレッスンを受けるのですが、実際受けてみるとすごく刺激的で楽しかったですね。
テレビ通話を使ってマンツーマンでの指導でしたが、課題に挑戦してどこを直せばうまくいくのかなど、ストレスなく丁寧に教えていただけました。
オンラインとはいえ、実際に顔を合わせて教えてもらうことと変わらない学習体験だと思います。
私はアメリカに住んでいるITエンジニアの手塚先生からレッスンを受けました。遠隔地にいるプロフェッショナルから直接指導が受けられるのもオンラインの大きなメリットだと感じます。
プロフェッショナル講師による、プライベートレッスン
ーーありがとうございます。CodeCampでは良質な学びを提供するために、講師の質にはどこよりもこだわりを持っています。テクノロジーを正しく、深く理解するためにはプロフェッショナルから学ぶことが必要です。オンラインなので、海外でエンジニアとしてご活躍されながら講師を務めている方も多いですね。
川本さんは会社の経営だけではなく、大学教授として授業を持たれていたり非常に忙しくされていると思いますが、オンラインレッスンはどのようなタイミングで受講されていましたか。
学習のリズムとしては、毎週土曜日の朝8時〜9時頃にレッスンを受けるようにしていました。
休日の朝に集中して学び、レッスンが終わる朝10時くらいには充実感を感じて一日をスタートすることができました。学習もでき、かつまた健康的に過ごせて非常に充実した時間でした。
家内も私が楽しくレッスンを受けている様子を見て気になっていたようで、「私も受けたい」と羨ましそうにしていましたね。笑
講師の手塚先生はアメリカでご活躍されている現役のITエンジニアなので、どんな働き方をしているのか、エンジニアとしてどんなモチベーションを持って働いているのか、などいろんなことをお話しいただきました。
私も、自分が今どんな仕事をしていて、なんでこのレッスンを受けているのか最初のレッスンでお伝えしました。私の方の背景を理解していただいて指導していただけたのも本当に良かったですね。
デジタル世界の構造を理解する
学習を終えて、自分とデジタルの世界との距離がぐっと縮まったと思います。
自分が普段使っているWebサービスの裏側がこんな風に動いているのかと
すべての出発点はエンジニアが書いたコードで、それが紡ぎ上げられて世の中にたくさんのWebサービスが動いている。いま世界がどう動いているのか、手触り感を持って理解できるようになりました。
ブラウザ上の画面を構成するフロントエンドの技術や、サーバーサイド、データベース、セキュリティについてなど、エンジニアとして働く講師の指導を通じて網羅的に学ぶことができたのが良かったです。
自分が投資している会社で働いているエンジニアの方々はこういう仕事をしているんだなと、改めて敬意と共感を持つことができました。
ーー学習前に掲げていた目的を達成されていて素晴らしいですね。我々としても、エンジニアと共通言語を持って意思疎通ができる経営者や管理職の方を増やしていきたいと考えているので、川本さんのような方に学んでいただけて嬉しく思います。
ITを活用してビジネスを成長させていくためには、経営者や管理職の方がITを正しく理解し変革をリードする役割を担えるようになることが必要です。
個人の学習体験としても率直に楽しかったので、ぜひ多くの方に学んでもらいたいですね。
自分が全く知らない世界について、普段会えない人からオンラインで教わるのは大変新鮮でした。
新しい領域、新しい学び方に触れることで発想が豊かになりますし、これから主流になっていく「オンラインで学ぶ」という経験は経営者や年配の方にも意義深いと思います。
いまはインターネットやソフトウェアなしにビジネスを行うことは、ほぼ不可能ですから。もっと自分が知らない、見たことがない世界についても学んだほうがいいと感じています。
オンラインで学ぶ体験を通じて、PCの向こう側の自分が知らない新しい世界に出会え、知らないコトや人とも繋がることができ、その楽しさを改めて実感しました。
ただ、私くらいの年齢の方だとオンラインで学ぶことに入り口で心理的な抵抗がある方もいるかもしれません。
最後までやり遂げられるのかどうか不安だったり、いまさら新しいことを年下の人から教わるのが恥ずかしいと感じたりする方も多いのではないでしょうか。
日本全体のITリテラシーを向上させる
ーーそうですね。いまはまだ、新しい学びへの関心が高い経営者の方が受講されている状態なので、オンラインでテクノロジーを学ぶことの利便性や重要性についてはもっと訴えていきたいです。
コードキャンプには、これからの経営者や管理職に求められるITリテラシーを定義して、どんどん教育を提供してもらいたいですね。
コードキャンプのようなテクノロジー教育を行う企業の存在は日本にとって必要だと思います。
今、私の問題意識として、政府がイーガバメント(行政手続の電子化、情報技術の導入)に取り組むにしても、ITリテラシーが高くない人が責任者になってしまっているのではと心配しています。
イーガバメントを実現することによって、何を実現したいのか?何が実現できると考えているのか?などを解像度高く描くことができていない。そういったテーマに取り組む人たちのリテラシーを向上させていくことは、まだまだ大きな課題です。
日本社会や企業に大きな影響を及ぼす意思決定をする人たちに必要なITリテラシーとは何かを定義し、楽しみながら学べる研修を提供することをコードキャンプに期待したいですね。
ーー本日はありがとうございました。コードキャンプは日本全体のITリテラシー向上やデジタル変革を推進する役割としてもっと存在感を高めていきます。今後もよりよい未来の実現に向けてご助言いただければ幸いです。
川本 明(かわもと あきら)氏
アスパラントグループ株式会社 シニアパートナー、慶應義塾大学 経済学部教授
1981年に経済産業省に入省。 1995年より経済開発協力機構(OECD,パリ)で4年間規制改革プロジェクトに参画。 帰国して通商白書、電力自由化、科学技術基本計画の策定、社会保障国民会議など、重要政策課題に実務責任者として取り組み、実績を上げる。 2009年大臣官房審議官(産業政策局・経済社会政策担当)、2010年より企業再生支援機構に出向、専務執行役員として企業再生業務に従事し2012年に退官。 2013年4月より慶應義塾大学・経済学部教授。著書「なぜ日本は改革を実行できないのか」(日本経済新聞出版社2013年4月)、「規制改革」(中公新書)他多数。フューチャー株式会社、株式会社オンワードホールディングスにて社外取締役を務める。
今回、川本様にご受講いただいたコースはこちらです。https://codecamp.jp/courses/techliteracy