nanapiの会社風土と文化づくり



nanapiの会社風土と文化づくり
目次
  1. 企業風土のあり方
  2. 風土≠文化
  3. nanapiの風土-技術そのものをリスペクトしよう-
  4. 風土が採用・育成の土台
  5. 事業毎に人をまとめる組織体制
  6. 技術で価値を生み出す
  7. コミュニケーションの円滑化
  8. ライトウィングとレフトウィング
  9. ツールによって新しい文化が作られる
  10. 古い文化は捨てさせろ
  11. 和田氏の描く人材像
  12. 変化に耐えられる者が生き残る
  13. nanapiが実践する人材育成
  14. 最先端デバイスの提供
  15. エンジニアへ新しい技術の提供
  16. 非エンジニアへの技術研修
  17. 技術を理解していない人間が技術の邪魔をする
  18. 風土を創るのがCTOの役割

先日、Code部を運営しているCodeCampが主催でセミナーを開催しました。テーマは、「IT業界で勝つための、技術を軸とした社内文化を創るには?nanapiとVoyageGroupが実践する人材育成と効果」。今回は、前回ご紹介したVoyageGroup三浦氏の「成長する勉強会カルチャー」に引き続き、nanapiCTOの和田修一氏の講演内容をご紹介致します。hy_C0R3G

プロフィール:和田修一氏

中央大学経済学部卒業後、2005年に楽天入社。同社の退職後、2009年に古川健介氏(現:nanapi代表取締役)と共に株式会社ロケットスタート(現、株式会社nanapi)を始動。以来、CTOとして、同社のすべてのシステム開発を統括してきた。nanapiは現在、生活に役立つテクニックの共有サイト「nanapi」や、最近では5月14日(水)にAndroid版をリリースしたスマートフォンで簡単に悩みや疑問を相談し即レスを得ることができるスマートフォン時代のQ&A型コミュニケーションアプリ「アンサー」を運営している。株式会社ロケットスタート(現、株式会社nanapi)を始動。

WEBサービス「nanapi」を2009年にリリースしてから、一月に2500万人が訪れるサービスにまで成長させた株式会社nanapi。現在は、コミュニケーションアプリや海外向けのメディアなど複数サービスの展開を進めているという同社ですが、その成功の裏にはどのような組織や制度があり、土台となる企業風土がどのようなものなのか、nanapiCTO和田修一氏からお話をいただきます。

企業風土のあり方

CTOとして組織をまとめる上で、”風土”を重要視しているという同氏。現にnanapiでは創業以来、エンジニアは1人も辞めていないと言います。そのような背景には、企業風土に対するどのような考えがあったのか、同氏は語ります。

風土≠文化

「ベースになるOSのようなものが、企業風土なのかなと思います。ただ、風土って勝手に出来るものではないんですね。個人的に風土は、意思を持って作るものだと思っています。これは経営陣がミッションを持って作り続けなければならない。そして作ったものを絶対に維持していって、社員に浸透させていくものだと思います。」

「一方で文化というものは、できるものだと思っています。企業風土というものがあって、その上に文化というものができると思っています。施策・イベント・制度は文化に近いのかなと。なにかしらちゃんとした風土があって、その上に文化や施策・制度がないと全く価値がないと思います。なので、例えばエンジニアらしい制度が通るような会社を作りたいなと思ったのであれば、ちゃんとそういう風土を浸透させなければいけないのかなと思います。」

nanapiの風土-技術そのものをリスペクトしよう-

「そしてnanapiの風土はどのようなものかと言うと、基本的には技術をリスペクトしようという風土です。これはけっこう勘違いされがちなのですが、エンジニアではなくて技術そのものをリスペクトしようという風土にしています。人を偉くすると明らかに歪みがうまれます。明らかにおかしくなってしまう。技術によって世界が変わってきた。技術によって世界がよくなってきた。これを正しく理解して、技術そのものをリスペクトしましょうという風土にしたりしています。」

風土が採用・育成の土台

「やっぱり採用とか制度だったりっていうのは全部風土ありきなんですよね。とくに、風土で共感してくれて入ってくれる社員ってほんとにやっぱ辞めないんですよ。一方で、確かに待遇や報酬も大事なんですけど、それだけで人を採ってくる場合は、単純にもっと待遇の良い会社に絶対に移るんですよ。どうすればちゃんと人を固定する事ができるのかというと、やはり風土なんですね。なので、やはり採用の決め手は、企業風土であることが良いのではないかと思います。」

事業毎に人をまとめる組織体制

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次に、そのような風土の上にどのような組織制度を作っているのかという話になります。nanapiでは、職種毎に組織をまとめるのではなく、事業に直接人をアサインし、サービス毎に人をまとめる組織体制をとっているのですが、それには様々な狙いがあると同氏は言います。

「うちはエンジニアをひとまとめの組織にするのではなくて、それぞれの事業に対してエンジニアがアサインされるという形になっています。これはデザイナーやディレクターも同じで、横断的にものをみるのではなくて、基本的に兼務はなしで一個のプロダクトにコミットするという体制でやっています。」

技術で価値を生み出す

「なんで事業別にアサインしているかというところとしては、技術を軸にするのは当然ですが、技術的な事ばかりやるのではなくて、技術を通じて問題を解決していかないとサービスは絶対に良くなっていかないと思っています。なのでnanapiのエンジニアは、ただただ目の前のコードを言われて書くのではなくて、サービスを作っていって、新しい価値を生み出していくっていうのが大事だなと思っています。」

コミュニケーションの円滑化

「またですね、ディレクターとかエンジニアとかデザイナーとかを職種でまとめるのではなくて、事業ごとにまとめていたりすると相互の連絡が早いんですよね。コミュニケーションもやっぱ取りやすいといったのがあるので、職種を超えてサービスを考えるだったりだとか、今ある問題の解決を活発にするだったりだとか。なのでですね、事業単位にエンジニアを直接アサインしています。」

ライトウィングとレフトウィング

しかし、事業毎に人をまとめることは、メリットを生むだけでなく、エンジニア同士のコミュニケーションや技術の共有などが問題になってきます。そこでnanapiでは、アジャイルのライトウィング・レフトウィングという考え方を採用し、事業毎に共通化する部分と共通化しない部分を持つようにしていると言います。

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「一方でレフトウィングのように、こういうふうにプロダクト開発したほうがいいよっていうのは均一化できないんですよ。アプリ開発とweb開発では、プロジェクトマネージメントの手法も変わってきますので、絶対に均一化することできません。」

「やっぱりプロジェクトとかですね、スタイルによって進め方っていうのは圧倒的に変わってくるんですよね。なのでそういったものっていうのは、基本的にそのプロジェクトの運営に任せるというスタイルにしています。」
「その結果ですね、いい意味でプログジェク内の文化だったり独自の文化開発スタイルになってきていて、独自ではあるけれども、何をやっているのか見えるようになるんですね。」

ツールによって新しい文化が作られる

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次に情報共有の話に移ります。情報共有をするためのツールとしてnanapiでは、SlackやQiita:Teamを使っていると言います。これらは便利な一方、かなり技術者向けのツールなのですが、驚くべきことに、なんとnanapiでは非エンジニアやアルバイトも含め全員がこれらのツールを使っているとのことです。そこにもまた、nanapi独特の風土があり、そして、そのようなツールによって新しい文化が出来ていくと同氏は言います。

「技術的に絶対こっちのほうがいけてるよね、というところがあったら、そっち使ったほうがいいよね、というのが社内の風土としてあります。なので、エンジニアが使って便利だよと言っているものは、みんな純粋に信じてくれるんですよね。なので、皆こういったものを使ってくれる。」

「ツールによってどんどん作られていく文化って、やっぱりあったりするんですよ。なので、文化は出来ていくものというお話をしましたけども、実際に風土がちゃんと確定していれば、そういったツールを入れたことによって新しい文化は出来ていくと思うんですよね。」

「ただ、社内の風土に合ったツール選定っていうのがやっぱ大事だと思います。確かにSlackは便利です。便利ですけれども、技術的な風土がないと中々定着しづらいツールだと思うんですよ。なので、そこは風土によってツールを選定していかないといけないのかなと思っていたりします。」

このように風土に合わせたツールを導入することで新しい文化が出来るという同氏ですが、新しいツールを導入する際には、「前にやっていた物をどうするのか」という反対意見が必ず出てきます。しかし、そのような古い文化を捨てていかなければ、会社は成長していかないと同氏は語ります。

古い文化は捨てさせろ

「古い、レガシーな文化をひっぱりつづけてしまうと、やっぱ企業っていうのは成長していかない。古い考え方持っている人に合わせるんじゃなくて、最先端のツールを使って、そのツールの使い方に人が合わせてく、というのが正しいんじゃないかと思います。」

「やっぱり変化を嫌って新しい考えについていけない人っているんですよね。今までのツールはそのままあってほしい。メールはあってほしい、もしかしたらFAXかもしれない。でもそういったものを残しつづけてしまうと、やっぱり圧倒的に会社の成長が遅れてしまうんですよ。なので、風土にあったツールを選べているのであれば、そういった古い文化を捨て切ってしまって、一個の風土に合わせてどんどん文化を新しくしていくことが大事だと思います。」

和田氏の描く人材像

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これからの時代に社員に求めるものは、変化に耐えうる力だと同氏は言います。そのような社員を育てるためにnanapiで実践している人材育成について紹介していただきました。

変化に耐えられる者が生き残る

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「10年ちょっと前って本当にHTML書けるだけで価値がありましたよね。正直今の時代ってHTML書けるだけじゃまず価値は無いですよね。フロントエンドエンジニアはHTMLだけじゃなくてCSS、JavaScriptができて当たり前の時代になってきたと思います。多分2,3年もすればフロントエンドエンジニアって職種としては無くなると思います。そのようにどんどん職種も変わっていきますし、やるべきことも変わっていく。そうなると今あるスキルっていうのは、いつかそれだけでは戦えなくなってくるんですね。」

「やっぱり大事なのは、変化に耐え続けて、新しいテクノロジーや考え方、デバイスにどんどん付いていって、それを開発出来るような人間になっていくことが大事かなと。結局変化の強さなんですよね。」

nanapiが実践する人材育成

「社員に『変わってね、新しいものキャッチアップしてね』って言うだけでいいのかというのは難しいと思っています。こちらとしては、ちゃんと時代の変化に耐えうるだけの物を提供する必要があると思っています。」

最先端デバイスの提供

「新しいデバイスだったりとか、そういった新しいものを会社に置いていたりするんですけど、そういった常に新しいものを使って、最先端のデバイスを触れるようにしておこう、常に時代の変化に敏感になっておきましょうというのを言っていますし、実際に購入して、社員が触ることができるようにしています。」

エンジニアへ新しい技術の提供

「勉強会は当然やっていますが、それ以外にも毎日1時間業務時間中に、新しいスキルを学ぶための学習時間を強制的にとっています。テーマを決めて、クヲーターごとに新しいスキルをマスターする、それなりに仕事で使えるレベルまで持っていく、ということを毎日1時間やっているんですね。これだけやっていると、今までふれてこなかった技術でもかなり理解が深まるんですよ。そういったことを業務の中に組み込んで学ぶというをことを仕事としてやっているというのが、エンジニアに対して提供していることです。」

非エンジニアへの技術研修

非エンジニア向けの研修っていうのも強くやっていたりしています。これは誰がというと自分が直接やっていたりします。役員が直接こういう研修をやるのはコストなんじゃないかとよく言われますが、コストじゃなくて、これは必要だと思ってるからやっています。週3回直接教えて書けるようにする。社員であれば全職種やってもらうのを必須としています。極端な話、うちは総務の女の子でもコードが書けるようになっています。うちは書けない人間を無くすというところに持っていきたいと思っているので、これは必須にしています。」

技術を理解していない人間が技術の邪魔をする

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非エンジニアに対して、CTOである和田氏自らが技術研修を行っているというnanapiですが、この裏にもまた、同社が大切にしている技術に対する哲学が存在していました。

「私は、非エンジニアがコード書けるようになって、それを直接的に仕事で使わなくても全然いいと思うんですよ。そこは技術力に強く期待しているわけではないんです。なぜ教えてるのかっていうと技術の、エンジニアの邪魔をするのは非エンジニアなんですよ。技術をわかっていない人が、技術の邪魔をするんですよ。」

「うちではそれは発生しないんですね。なぜかっていうと、こういうふうに技術っていうのは問題解決をしてるんだよっていう根底のところを、非エンジニアに対しても理解してもらってるんですよ。技術っていうのを本質的に理解してもらうために技術を教えてるんですね。だから本当に必要だと思ってる。なので私が直接教えてる。」

風土を創るのがCTOの役割

「私は、技術をコントロールする人ではないのかなあと思っています。となると、何するのか。まさに風土を創る側なのだと思っています。こういった風土を語っていって、会社を変化に耐えられる組織にしていく、といったことをやっています。意識しているのは風土を創ることであって、あくまで技術をコントロールすることではないってことですね。私が技術をコントロールしてしまうと、技術のキャップが私になってしまうんで、それは絶対に良くないと。」

「基本的に、私より優秀なエンジニアっていうのを採用基準に入れていたりします。私自身、私より優秀なエンジニアと働きたいですし、そういったエンジニアが楽しく働ける職場っていうのを作っていくのが、私自身の仕事なんじゃないかなと思っています。」

このように技術をリスペクトする風土を創り、技術による問題解決を掲げるnanapi。これからはどんな技術で問題を解決して人々を驚かせていくのか、今から非常に楽しみです。IMG_0184

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CodeCampus編集部
この記事を書いた人
CodeCampus編集部
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