ウォンテッドリーCTO川崎氏が語る「Wantedly People」と採用への思い 中編
人事担当者やCTOからエンジニア採用におけるリアルな本音を聞き出す、”非エンジニアが聞く「エンジニア採用」のリアル”の第一回目、WantedlyのCTOである川崎 禎紀さんへのインタビュー中編です。
今回は、川崎さんとウォンテッドリーCEO仲さんとの出会いから入社するまで、採用において重視する点、スケールするための組織作りまで、です。エンジニア採用を目指す方、エンジニアの組織作りに関わっている方は必見の内容です。
川崎 禎紀 さんプロフィール:
ウォンテッドリー株式会社 取締役CTO
1981年生まれ。東京大学理学部情報科学科を卒業後、同大学院にて情報理工学系研究科コ ンピュータ科学専攻の修士課程を修了。
2006年に外資系金融機関に入社し、テクノロジー部門VPを経て、2012年4月よりWantedlyの開発・運営にCTOとして参画。
中学生のころから、ゲームを作るために独学でBASICとC言語でプログラミングを覚える。
大学在学中は、ユーザーインタフェースの研究を行う。Wantedlyを活用し、創業メンバーと出会い参画を決意。人の価値観や人生が変わるようなサービスを提供できるように、日々開発に没頭している。好きなゲームはStarCraft II。好きなアーティストは電気グルーヴ。
(Wantedly プロフィールから抜粋)
【サービスぺージ】
Wantedly Chat https://www.wantedly.com/chat
Wantedly People https://p.wantedly.com/
前篇のインタビュー記事はこちら!
ウォンテッドリーCTO川崎氏が語る「Wantedly People」と採用への思い 前編
面識無しから「繋がる」ことで新しい職場へ
– 海外だと、自分のプロフィールをしっかり更新してアピールしている印象がありますね。話が変わりますが、ウォンテッドリーに入社する前、1週間ほど業務を手伝われていたという記事を読みました。その手伝いをする前、途中、後、でどういうお気持ちの変化があったのかを伺えますか。
元々、CEOの仲とは会社は一緒だけど面識もなくて、共通の知り合いがいるかなぐらいでした。休みを1週間ほど取っていたんですが、何かのニュースでウォンテッドリーを見て、休みの1ヶ月ぐらい前に会って、旅行に行くみたいな予定もなかったので手伝ったという流れです。
当時、外資の金融機関に勤めていて、今ほどスタートアップのエコシステムが存在してなかったんですよね。外資の金融機関や証券会社からインターネット業界やテックスタートアップにいくっていう人はいなかったし、なおさら始めるっていう人もいませんでした。
当時のそういう業界は、多分テッククランチとか読んでない人の集まりなんです。
それなのに、自分でやっている人がいる、Facebook Japnの立ち上げメンバーを経て、自分でプログラミングを覚えて、自分で立ち上げるところまで頑張った人がいるというのに興味をもって会ってみたいと思いました。
たまたま近くに住んでいたのもあって、会いに行って、色々文句を言っていた。あんまり考えてなかったんです。そんなに言うんだったらちょっとやってよっていう話になって、Webはやったことなかったんですけど覚えてって感じですね。
– 文句言ってた点を自分で改善することになったんですね。
自費で買ったMacBook Air で業務開始
でも、家でMacは使ってたけど、MacBook Air みたいなノートパソコンを持ってなくて。その時のウォンテッドリーはボロマンションでやってて、余ってるのあるかなと思ったけどなくて自費で買いに行って(笑)。
– ノートパソコンなかったんですね。家と会社でしか仕事していなかった。
そう、買うところからです。まあ、一週間だけでも、終わったらどうせ使うだろうと思って買いました。そして、こういう風にした方がいいですよねって言ってたのを作る。
(注:現在はエンジニア全員にアップグレードしたMacBook Proを支給しているそうです。エンジニアの生産性を重視するウォンテッドリーさんらしいですね)
– Webの知識はなかったと言われましたが、一週間の中で覚えていったんですか。
WantedlyはRailsを使っているので、手伝う前にRailsを勉強してきました。
そこから代表の仲と一緒に、ペアプロみたいな形で進めて、動くものをパッと作っていきました。
– 仲さんとは面識は全くなかったんですね。
すれ違ったことぐらいはあったかものレベルです。前の会社に仲が2008年に入社して、私が2006年入社なので、年度も違うし部署も全く違う。後輩が彼女の同期で、共通の友人がいるみたいな感じです。
– 話した印象はどうだったんですか。
この人、凄く頭が良いなと。私は前の会社で全く日本人がいない部署で働いていたので、こんなに仕事ができる日本人の方と働いてみたいと思いました。
ただ、頭が良いから仕事できそうだけど、その一方で外銀ぽくないなとも感じましたね。仲はクリエイティブなこと、ネットであったりプロダクトを作っていることに情熱を燃やせる、そういう人はあまり前職にはいません。全然そういう能力を求められない。
– 目指している方向性が全く違った。
それはもう、全然違う。前職の出身者であんな人はいない。私も、異端な方ではありましたけど。
– サービスに対する思いに戻りますが、川崎さんのインタビューやブログ記事を読んで、技術は大事にしつつも、サービスやプロダクトをどう作るかを大事にされている印象を受けました。ご本人としてはどう思いますか。
完全にその通りです。我々は、問題解決をしていくのがソフトウェアエンジニアの仕事だと思っています。もちろん、高い技術力は必要ですし、学習していく能力も必須です。
ただ、それは大前提として、時には技術を使わずに泥臭いこともやりながら問題解決をしていくことも大事です。例えばサービスを作っている部署であればその機能がユーザーにどれぐらい使われたのか、社内のインフラや技術基盤であれば社内の環境がどのように改善したのかというのを追いかけて欲しいと思っています。
採用の面談の時によく言っているのは「使われないソフトウェア」を書くぐらいだったら寝てた方がいいよねと(笑)。
受諾と自社でサービスを開発している会社が大きく違うのは、自分たちでオーナーシップをもって使われところまで出来るところです。エンジニアが、自社サービスの中で、自分の担当する部分の数字を追いかけてユーザーに使われるところまで責任を持つことが重要なんだと思っています。
– 採用でも重視されていますか。
使われるところまで責任を持てるか、というのも採用基準の一つです。
技術も好き、プログラミング自体も大好きだし、新しい技術を勉強していける知識欲も持っているし、実際にキャッチアップしている人はいます。ただ、それだけでは、少なくともウォンテッドリーでは活躍できるエンジニアになっていかないかなと思っています。
– 今活躍されている方も、そうした方達でしょうか。
そうですね。うちでは、本当に泥臭いこともいっぱいやっています。A/Bテストもいっぱいやっているし、文章をちょっと変えていたり、マーケティングの施策も変えています。
ウォンテッドリーがユニークなのが、エンジニアがマーケティングを含めて自分のプロダクトの担当範囲を持っていることです。コンテンツを増やすことがプロダクトにとって重要なら、人力も含めて考えて、エンジニアがリードしてやっています。
– コンセプト作りやプロダクトをビジネスサイドやデザイナーが考えて、エンジニアが実装するという分担ではないということですね。
分けてないです。エンジニアがリードしてサービスに責任を持っていくという働き方をしていますね。
– 川崎さんが、働きたいと思うのも、そうしたオーナーシップを前提としている方でしょうか。今、採用にかなり川崎さんが入られてませんか。
そうですね、今は、自分の時間の8~9割は採用に使ってます。会社のフェーズによって関わり方を変えているのですが、採用を8割にしたのはこの3ヶ月ぐらいです。
この半年は採用への比重を増やしました。
それまでは「Wantedly Chat」 の方に力を入れていて、マーケティングやPRもやっていたんですが、ビジデブとマーケティングの専任者にいい人が見つかったので任せて。会社として採用に力を入れていかないフェーズなので担当しているという状況です。
僕は、フェーズ、フェーズで会社に大事なところをやっていくというポリシーでやっているのですが、僕の下でやっているエンジニアリーダーも、若いけど、もうプロダクトの実施にはほとんどタッチしていなくていいぐらい力を持っています。技術面であったり、ジャッジで任せられるとこ、プロダクトで任せられるところは任せているんですね。
彼らに任せた方が自分よりもさらに上手くできるという人たちが育っている。そうした成長もあって、今は採用に力を入れています。
– 今は、次の人たちを見つけるフェーズということですね。
スケールする採用チームと採用体制を作るというのを、ここから先の半年はメインにしようかなと思っています。
– スケールするための採用チームやエンジニアチームとして、イメージしているチーム像はありますか。
エンジニアチームの方でいうと、ひとつひとつのチームのサイズを大きくしすぎないということ。かつそのチームにちゃんとオーナーシップをもたせてあげることです。今すでにそういうチーム作りをしています。また、これは一方で、オーナーシップを持てる人を採用するということの裏返しでもあると思います。
– 人事もエンジニアも少人数のチーム設計ということですか。
Wantedlyのフィードなら今は3人でチームを組んでいます。これが10人規模になると機能しないと思います。適切な規模の人数に抑え、その中でもオーナーシップを持ってプロダクトをどうしていくか、ミッションをちゃんとその人たちで決めていけれるように、そういう体制を作ってあげるということだと思いますね。
そういう体制を作っていくと自然とエンジニアの組織がスケールしていくのではないでしょうか。
全部プロダクトのトップまでいかないと決められない、極論、会社の代表まで行かないと決められないのは、意思決定の速度が遅くなると思っています。
私が入るにしても、目指していく方向性、どれぐらいのリソースで、どれぐらいの期間やる、どれぐらいの人数でやるというという最低限のことを最初に言っておく。
その上で、あとは自分たちで考えてもらって、ここは自分たちのところなんだからと渡してあげる。それを全てのチームでやっていくというのが、会社のマネジメントスタイルとしてもスケールするやり方なのかなと思います。
– 少人数ということですが、平均してどの程度のチーム人数ですか。
大きくても10人、だいたい3〜4人、少ないと2人とか。
ただ、プロダクトによって変わります。「Wantedly Chat」だと、iOSもAndroidもwebもやるのでそれだけでどんなに少なくても最低3人は必要です。今回の「Wantedly People」のような新プロジェクトの立ち上げ時はそちらに寄せて、10人規模のチームを組みます。
– 今、エンジニア全体では何名いらっしゃいますか。
フルタイムでエンジニアとデザイナー合わせて、25名前後です。あとは内定者が長期インターンできていて、チーム開発やカルチャーを学びながら技術を磨いています。
【サービスぺージ】
Wantedly Chat https://www.wantedly.com/chat
Wantedly People https://p.wantedly.com/
(インタビュアー・構成:藤本大輔)
後編はこちら!
ウォンテッドリーCTO川崎氏が語る「Wantedly People」と採用への思い 後編
【インタビュー目次】
ウォンテッドリーCTO川崎氏が語る「Wantedly People」と採用への思い
■前編
・「Wantedly People」でもっと「つながる」世界
・これからは個人でもブランディングする時代
■中編
・面識無しから「つながる」ことで転職を決意
・自費で買ったMacBook Air で業務開始
・優先度の高い仕事に時間を集中、今は9割が採用
■後編
・問題解決への熱意が良いサービスへ「つながる」
・プロダクト作りの原点は中学時代のゲーム制作
・エンジニアは足りない、ディスカッションからでも会ってみたい