グローバルで戦える日本の若手エンジニアを増やしたい。LINEが新卒研修で行っていること



グローバルで戦える日本の若手エンジニアを増やしたい。LINEが新卒研修で行っていること

グローバルで戦うコミュニケーションプラットフォーム「LINE」ではどのように新卒エンジニアを育成しているのか?

今回は、コードキャンプの研修を導入していただいたLINE株式会社の橋本氏、三木氏に研修の狙いや成果についてお話を伺いました。

コードキャンプのプログラミング研修|CodeCamp

目次
  1. グローバルで戦うLINEエンジニア職の新卒採用
  2. クローンアプリのチーム開発を行う新卒研修
  3. LINEにおけるチーム開発を習得する
  4. 講師目線よりもコーチ目線、研修講師に求めること
  5. 技術的な挑戦を詰め込んだ研修の成果発表
  6. グローバルな開発環境で、最高のパフォーマンスを発揮してもらいたい
  7. 日本の若手エンジニアは、グローバルで戦う開発現場を経験をするべき

LINE株式会社
Data Labs 橋本 泰一氏(写真中央)、Tech Communication TF 三木 鉄平氏(写真右)

インタビュアー:コードキャンプ株式会社 デジタル人材開発支援室 渡邊 翔太(写真左)

グローバルで戦うLINEエンジニア職の新卒採用

-今年度の新卒研修の運営をお手伝いさせて頂きました。まずはLINEにおける新卒エンジニアの採用・位置づけについてお話をきかせてください。

三木氏:LINEにはエンジニアが約400名(2017/3時点)在籍しており、採用を強化しているため年々増加しています。社員のうち約1/4は外国籍で、海外に複数ある開発拠点と連携しながら、月間アクティブユーザー数が2億人を越えるグローバルプラットフォームの開発に取り組んでいます。

エンジニア職の新卒採用は2013年から開始しており、開発/インフラ/セキュリティの3職種で採用しています。基本的には、個人やインターン先の企業でWebサービスの開発経験があったり、研究室でコンピュータサイエンスを専攻されている学生の方にご応募いただくことが多いです。

そのため、新卒とはいえチームに配属後すぐに高いパフォーマンスを発揮したり、「Developer Award」というエンジニア自身が周囲の優秀なエンジニアを推薦・表彰する制度に1年目から選ばれるなど、中途入社の社員と比較しても見劣りしないスキルを備えた方が多いです。

クローンアプリのチーム開発を行う新卒研修

三木氏:今年度、技術職は6名の新卒が入社したのですが、今回の研修は、配属前にLINEの開発手法やチームでの仕事の進め方を学習してもらうことを主な目的として、チームでLINEのクローンアプリ(Android)を開発するというテーマで実施しました。

橋本氏:技術的には、LINEのシステムはJavaをベースに構築されている部分が多いので、そこについて最低限理解してもらうことも研修の目的としています。

実際の現場にはリリースした当初から継続しているレガシーなシステムが残っていて,修正して使い続けているケースなどがあるので、LINEの基礎となっているシステムで使われているプログラミング言語の理解を深めてもらいたいと思っています。

もちろん、LINEとしては新しいことにチャレンジしたい、今までにないものをつくりたいという、ものづくりが好きなマインドを持っている人がエンジニアとして相性がいいと思っています。 そのため、研修の中で新しいチャレンジをしていくということも求めています。

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LINEにおけるチーム開発を習得する

-約1ヶ月(18日間)かけて、LINEのクローンアプリを開発するというテーマで研修を一緒に運営させていただきました。改めて、研修で狙いとしていたことや、意図していたことについてお話いただけますか。

三木氏:今回の研修は、新卒研修によくある座学→演習といったパターンではなく、6名を配属先が異なる3名ずつという構成で2組のチームに分けて、いきなり開発をスタート、という形で実施しました。

橋本氏:まずは「LINEにおけるチーム開発」を体験してもらうことを重視していたので、日次での進捗共有やタスク管理、ドキュメントづくり、コードレビューなど配属後と同じ進め方で開発に取り組んでもらいました。

いわゆる「ハッカソン」のようなつくることを目的とするだけのイベントならばそこまで必要ないのですが、配属後にスムーズにLINEの開発チームでの働き方に馴染んでもらえるように設計しています。

やはり新卒で入社してくる方は、開発経験があるとはいえチームでの開発の進め方について経験が十分にあるわけではありません。各メンバーに毎日持ち回りでチームリーダーをやってもらいながら、チームで開発を進めるためにはどんな役割の人が必要なのか?どうコミュニケーションを取るべきか?などを体験してもらうようにしています。

エンジニアが独りよがりで開発を進めてしまうと、バグを見落としていたりクオリティが向上しづらかったりということがあるので、コードレビューなどを繰り返すことでチーム開発の「作法」を身に着けてもらいましした。

三木氏:また背景として、今年の6名はWebサービス開発の基礎知識・経験があることから、講師からインプットの時間を設ける必要がない、座学形式よりはエンジニアにとって刺激がありストレッチになるに違いない、という狙いもありました。

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講師目線よりもコーチ目線、研修講師に求めること

-今回のチーム開発研修は、実務を疑似体験するという意味合いが強かったですね。アサインさせていただく講師についても事前に多くリクエストをいただいていました。研修には大手ITでの開発経験を経て、独立されている木村先生を講師としてアサインさせていただきましたが、どのような点を重視して講師を選ばれていますか?

三木氏:今回の研修は「LINEのクローン」というテーマや最低限の機能要件が定められているだけで、利用する技術や言語に特に制約を設けていませんでした。そこで、指導にあたる方の条件として、新しい技術にも柔軟に対応できることや、最近の開発トレンドを理解していることをリクエストさせていただきました。

あとは、座学とは異なり実践型の研修スタイルですので、新入社員と同じ目線に立ってコミュニケーションを重ね、自走して問題解決できるように支援をしていただける方が望ましいと考えていました。

-実際にコードキャンプでも、正解を教えることよりも解決策を導き出すための手引をすることを講師に求めてリクルーティングしています。特に新入社員向けに研修を行う際に「言われたことをやる」ように教えられるのと、「自発的に考えて問題解決する」ように教えられるのでは、その後の成長曲線が変わってきますね。

三木氏:そうですね。今回も、講師目線よりもコーチ目線で指導いただけることを重視していました。異なる得意分野をもった新入社員が初めてチーム開発に取り組む機会だったので、一人ひとりのスキルや技術的にやりたいことを理解しながらアドバイスできる方をアサインしていただけたと思います。

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技術的な挑戦を詰め込んだ研修の成果発表

-技術的な点でも、新入社員の方々は研修の中でかなり新しい挑戦をされていましたね。研修の最後に成果発表会という形で、配属先のマネージャーやエンジニアの方に開発の成果を発表していましたが、評判はいかがでしたか?

三木氏:比較的暖かく迎えられました。自分たちが使いたい技術を自由に選定し開発してもらったので、結果的に両チームとも技術的なトライアルを存分に詰め込んだ設計になりました。発表を聞いた現場の先輩エンジニアたちも好奇心を持って質問していましたね。

橋本氏:お題だけ決められている状況で、チームメンバー同士が話し合ってどう構築していくか、サーバー、セキュリティ、フロントそれぞれの担当で話し合って模索していったのがいい経験になったのではないでしょうか。 例えば、Go言語が好きなメンバーがいるチームは「全部Goでやろう」とか、要件定義にはない「LINEの新しい機能」も追加でつくってみようとか、かなり自由に取り組んでいました。開発の自由度が高かった分、講師の方はかなり大変だったとおもいますが。笑

三木氏:発表後のQ&Aでは、その技術を採用した理由やアーキテクチャの詳細について鋭い質問が現場のエンジニアから飛んでいたのですが、各チームともしっかり納得感のある受け答えができていたのでは、と感じています。勿論短期間で開発したものだけに詰めが甘い部分がありつつも、悪い評価は特に聞こえてこなかったですね。

講師の方には、チームが必要なプロセスを踏んで開発を進めているか、最終的なアウトプットが要件を満たすものになっているかをデイリーで細かくチェックして頂けたので、質をしっかり担保してもらえました。

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グローバルな開発環境で、最高のパフォーマンスを発揮してもらいたい

-最後に、今後のLINEにおけるエンジニアの採用・育成・サポートなどについて、お考えのことがあればお聞かせください。

三木氏:今後LINEでは、クラウドAIプラットフォームである「Clova」など、事業でもいくつか新しいチャレンジをしていく予定です。

そういった事業戦略に沿った採用・育成を行いつつも、学習意欲や好奇心があるすべてのエンジニアにとって、快適に働ける環境を整えることに注力しています。海外のカンファレンスへの参加を推奨したり、社内勉強会を毎月開催したり、技術書の購入は100%補助するなど、会社としてサポート可能なことは出来る限り対応するようにしています。

インターネット業界は事業のライフサイクル・技術トレンドの移り変わりが激しいので、「この技術を押さえておければ安泰」というものは存在しないのではないでしょうか。 私はエンジニアではありませんが、重要なのはエンジニア自身が「常にパフォーマンスを発揮できている」「持続的に成長できる環境である」と感じてもらえるかどうかだと思います。

あとは、やはりグローバルな開発環境であることがLINEという会社の大きな特徴です。社内のエンジニアも多国籍ですし、日本以外にも韓国・中国・ベトナム・タイなど複数の拠点が存在し、拠点間で連携しながらプロダクトを開発しています。そういうスケール感で働きたい人にはエキサイティングな環境です。

日本の若手エンジニアは、グローバルで戦う開発現場を経験をするべき

橋本氏:僕は、もっと若い人にどんどんLINEで働いてもらいたいと思っています。一生に一回でいいので、エンジニアはグローバルで戦っている会社で働く経験をしたほうがいいと考えています。

ベンチャーやスタートアップのような環境でエンジニアが大きな裁量をもってプロダクトを開発していくことに魅力があるのはわかるのですが、短い期間でもいいので働いてみてもらいたいです。実際にグローバルをターゲットとしてプロダクトを開発している現場では世界観が違います。

例えば、開発の規模感や他国のエンジニアとの関わりなどその現場にいなければ経験できないことがたくさんあります。そういった経験は、スタートアップやベンチャーでの開発でも必ず生かされると考えています。

日本のエンジニアのレベルを向上させていく上で、若い人がグローバルに展開しているプロダクトでの開発経験を積むことはすごくいい糧になると思っています。

そういう経験がしたいという人は、ぜひ一緒にLINEで働いてもらいたいですね。

-本日は、刺激になるお話を聞かせていただきありがとうございます。コードキャンプも日本のエンジニアの育成レベルの底上げに貢献していけるように取り組んでいきます。ありがとうございました。

◆研修実施概要 

【研修のテーマ】
- 現場配属前に「チーム開発」の進め方を習得すること
- チームで0からサービスをつくり上げる経験をすること
- LINEのシステムで利用されている言語・技術への基礎理解

【研修概要】
- 受講者:エンジニア部門配属の新卒社員
- 研修形態:チーム開発研修
- 研修期間:18日間

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LINE Engineering(LINE株式会社の技術情報サイト)
https://engineering.linecorp.com/ja

コードキャンプのプログラミング研修|CodeCamp

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