「ヤフーにはインターネットの未来がある」ーヤフーCTO藤門氏が"シンギュラリティ"の中でも活躍できるエンジニア像を語る


「ヤフーにはインターネットの未来がある」ーヤフーCTO藤門氏が"シンギュラリティ"の中でも活躍できるエンジニア像を語る

”非エンジニアが聞く「エンジニア採用」のリアル”の第3回目は、ヤフー株式会社のCTO 藤門さんへのインタビューです。大手IT企業に新卒で入り、CTOになったエンジニアはどう採用に向き合っているのか。ぜひご覧ください。


藤門 千明(ふじもん・ちあき) ヤフー株式会社 執行役員 チーフテクノロジーオフィサー(CTO) 1980年、静岡県生まれ。2005年に筑波大学大学院を卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。エンジニアとして『Yahoo! JAPAN ID』や『Yahoo!ショッピング』『ヤフオク!』の決済システム構築などにかかわる。決済金融部門のテクニカルディレクターやYahoo! JAPANを支えるプラットフォームの責任者を経て、2015年にCTOに就任。特定の技術について高い専門性をもった人を「黒帯」として選定・任命する同社独自の制度「黒帯」の初代認定者でもある。

【サービスぺージ】 www.yahoo.co.jp

image 前回はクックパッドCTOの成田氏にお話を伺いましたので合わせてご覧ください!

「興味の幅がチームの生産性を上げる」ー新CTO成田氏が語る”これからのクックパッドに必要な人材”

目次
  1. 「Yahoo! JAPAN」と出会いインターネットを知った高専時代
  2. 自分次第で働き方が変えられることを知ったSWAT時代
  3. 「自分で自分の限界を超えるエンジニア」と働きたい
  4. グローバルで戦えるのかを知りたくてオープン化を進めた1年
  5. 未経験でも採用する。未来を作りたいならヤフーにくるべき

「Yahoo! JAPAN」と出会いインターネットを知った高専時代

- 今日はよろしくお願いいたします。では早速ですが、今のポジションや業務内容を教えていただけますか。

執行役員 CTOとしてヤフー全体の技術戦略を策定し、経営戦略に反映させ実行しています。 他には、会社のコーポレートビジョンや経営戦略を噛み砕いて社内のエンジニアやデザイナーにわかりやすく伝える橋渡しの役割を担ったり、エンジニアやデザイナーの採用や育成にもたずさわっています。

- 採用へはどう関わられていますか。

ヤフー全体のエンジニアやデザイナーの採用計画を担当しています。事業に対して必要なスキルや人数を算出したり、エンジニアの教育フローだったり評価制度の設計を行ったりと、仕事の半分は人に関する事ですね。

- 新卒で入られたんですよね。

はい、大学卒業後に入社してそこからずっとヤフーです。2015年の10月からCTOになり、半年ほど経った去年4月に執行役員へ就任しました。

- 転職が多いIT業界で生え抜きのCTOはなかなか珍しいかもしれません。いつ頃から、コンピューターやITヘの興味を持たれたんでしょうか。

私は工業高専出身なんですが、「Windows95」の発売をきっかけに進路を考え出すようになり翌年の96年に高専へ入学しました。 これからは「コンピューターの時代が来る」と思って、通常の進学校を選ぶか高専を選ぶかで悩み、思い切って飛び込んでみたという感じです。

高専では寮生活でした。

寮には色々と制約がありましたが、コンピューター室が各建物にあってインターネットを使うことができました。そこでできたばかりの「Yahoo! JAPAN」に触れたんです。 インターネットに初めて触れたのが「Yahoo! JAPAN」で、こういう世界で仕事を出来たら面白いなと思ったのは印象に残っています。

- その原体験があって、今働いているというのは面白いですね。大学ではどういった研究をされていたんですか。

VRやARでのコミュニケーションの研究をしていました。 いまやVRやARと言えば洗練された小型のヘッドセットやスマートフォンで実現可能ですが、当時はCGで作った世界を大掛かりな装置やコントローラーで動かすような状態でした。 そうしたシステムの中で、どうすれば人と人が音声や画像を使って円滑なコミュニケーションを取れるかを研究していました。

- 就職の時にヤフーを選ばれたのはなぜでしょうか。

大学での研究がコミュニケーションに関することだったので、最初は携帯キャリア等を受けていました。

ただ、初めてホームページを立ち上げたのは「Yahoo!ジオシティーズ」だったし、初めて自分のメアドを持ったのも「Yahoo!メール」でした。 自分の人生を振り返ってみてヤフーでもコミュニケーションに携われることに気付き、入社を決めました。

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自分次第で働き方が変えられることを知ったSWAT時代

- そこからCTOになるのは、非常に順調といえますね。藤門さんは、SWATという社内の様々なプロジェクトを助ける専任のチームを率いておられました。(※SWATに関する詳しいエピソードはコチラを御覧ください 越境して、自己主張し、課題解決して感謝される──特殊部隊「SWAT」で学んだこと) ベンチャー的というか、自由さはあったと思いますが難易度も高かったのではないでしょうか。そうした経験がキャリア形成にどんな効果があったと思われますか。

SWATは主力のサービス開発者がいる中、後方支援として炎上しているところに水をまわすお助け部隊です。 すでに炎上しているプロジェクトですから難易度は高くなりますが、自分の性には合ってたのかなと思います。

プライベートな話をさせてもらうと、高専の頃は学生会の副会長を、4年間の寮生活では副寮長をやっていました。 どちらも、No.1ではなくNo.2です。その頃からNo.1が活躍するためにはどうすれば良いのかというのを考えてサポートしていたので、もともと嫌いではなかったんですね。

そうやってSWATを経験していくと、仕事をうまくコントロールすればベンチャー的な働き方も、大きな組織を率いる事も、どちらも出来るということがわかるようになってきました。

ヤフーは非常に大きな企業ですが、自分の考え方次第でヤフーのような大きな企業の中でも色々な経験できるというのは大きな学びでした。

- CodeCampではエンジニアとコミュニケーションをとるため、営業の方がプログラミングを学ぶケースもあります。 SWATの経験でコミュニケーションにおいて気をつけておいた方がいいことはありますか。

仕事のコミュニケーションで重要なのは相手を正論で言い負かすことではなく、自分で気づいて変わってもらうことです。 それができて、初めて組織が良くなりプロジェクトも上手く進んでいきます。 SWATでは、正論で挑むのではなくまず相手に気持ち良く動いてもらうことを意識してコミュニケーションを取っていました。

また、発言力は個人の力に左右されるので、自分の言葉に重みを増すためにも、とにかく一生懸命勉強をしていましたね。

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「自分で自分の限界を超えるエンジニア」と働きたい

- そんな藤門さんが働きたい方、求める素養としては他にどのようなものがありますか。

ヤフーのようなテクノロジー企業ですと使っている技術の移り変わりが早いので、まずは技術習得に余念がない方が良いです。

他にはSWATの話にもつながりますが、自分で自分の限界を超えてくる人が良いですね。

エンジニアは真面目な方が多く自分の責任はきっちり果たすのですが、その影響からか責任分界点を決めたがる傾向があります。 ただそれは自分の限界を自分で決めてしまうことにつながります。

責任は果たしつつ自分の限界を超えてくる人、新しいことにチャレンジする人と働きたいです。

- 面接時に、そうした好奇心の強い方を見抜くために行っていることはありますか。

ヤフーでは、昨年の10月から新卒一括採用を廃止し、新卒や既卒、第二新卒など経歴に関わらず30歳以下の方を対象とした「ポテンシャル採用」と就業経験を重視する「キャリア採用」の2つの採用フローに大きく分けています。

キャリア採用の場合でいうと、職務経歴書をただなぞるのではなく、携わってきたプロジェクトで一番大事にしたものや、どうすればもっと良くできたと思うか、体験を通じて何を感じたか等候補者が何を考えていたのか引き出して判断するようにしています。

- 藤門さんから見て活躍されている方の共通軸はありますか。

いくつかありますが、目立つのはヤフーの持っているアセットをどんどん活用していこうという意識を持った方です。

例えばヤフーは検索もあるし、地図やECもある、事業領域が非常に幅広い会社です。 そうした多くの資産を使いユーザーにどういった新しい価値を提供できるのか、常に考えている人が最前線で活躍しています。

そうやって活躍しているエンジニアの中には、サービスマネージャーに就く人もいます。

- エンジニアであってもサービスの設計や企画をすることも出来るということでしょうか。

そうです。当社では複数のサービスを束ねることをユニットと呼んでいますが、複数のサービスを見るユニット責任者にはエンジニア出身者もいます。 他にも、エンジニアが会社の中枢の役割を担うケースも増えてきています。

- 優秀なエンジニアを採用しようとするとき、どのような点を重視されていますか。

エンジニアに大事なのは技術をどう生かして課題解決するのかであって、技術自体はあくまで手段だと考えています。

最先端の技術を求めることは私も嫌いではないですが、課題解決をするために技術を選ぶべきで技術を先に選ぶものではありません。 今の課題は何か、その課題に対する解決策にはどんなものがあるか、そしてそのためにはどういうテクノロジーを学んでおくべきだと考えているのかを面接の時に見ています。

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グローバルで戦えるのかを知りたくてオープン化を進めた1年

- エンジニア採用の状況は厳しいと言われています。ヤフーはどうでしょうか。

ヤフーの経営ポリシー上、フロントエンド、アプリからインフラ、ネットワークまで幅広く採用しています。

今は、ベンチャー、中規模、大手、グローバル企業と競合が増えていて、毎年かなり工夫しなければいけません。 またAIやビッグデータといったサイエンス寄りのスキルを持っていることも重要なので、色々な方法で採用活動に取り組んでいます。 特に、サイエンスやAI領域のエンジニアにはぜひ来ていただきたいです。

- ここから会社全体のお話に移りたいと思います。執行役員として就任してから変化や気づきはありましたか。

自分がCTOとして他の経営陣に対して技術的な提言をすることで、経営陣のメッセージが少しづつ変わってきたように感じます。 インターネットの会社はテクノロジーをベースにサービスやアプリケーションを作るわけですが、ここ数年で、改めて「ヤフーは技術を大事にする会社である」というメッセージを増やせているのかなと思っています。

まだ1年弱ですが、悪くないスタートを出来たのかな(笑)

- 登壇でも良くお見かけします(笑)話されている内容から、オープンな会社だという発信が増えていると感じますが、そこも意識されていたのでしょうか。

はい、意識はしていました。

そうした発信を始めたのは、自分たちの力を外の物差しで計りつつ成長させるためです。 個人的には、世界に出て技術で戦っていく姿勢は会社として持っていなければならないと思います。 そのためにはグローバルな目線で実力を把握する必要があり、自社を客観的に見る、見られるという状態を作りたいと考えていました。

- そうしたメッセージによる社内の変化はありましたか。

例えば、外部の学会での論文の採択数が以前に比べて4~5倍に増えています。 自分たちの普段の活動が世界レベルの基準で見ても新規性があって有用だと認められている、と感じられるのは大きな変化ですね。

オープンということでは、ヤフーはオープンソースソフトウェア(OSS)も利用していますし、OSSコミッターも積極的に採用しています。 これからもOSSコミュニティへの貢献は続けていきます。

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未経験でも採用する。未来を作りたいならヤフーにくるべき

- 今回のインタビューでITの老舗という印象がガラッと変わりました。未経験だと大手は難しいと考えている方も多いかと思いますが、そうした方の採用も考えられているのでしょうか。

2つの採用フローのうち、「ポテンシャル採用」は比較的若い方が対象で、あまりこれまでの経験を問うものにはしていません。 未経験であっても、ヤフーのアセットを使った新しい発想が出来たり、良いポテンシャルを発揮できる方であれば採用しています。まずは応募していただきたいですね。

- 応募を考えられている方に藤門さんの考える「ヤフーで働く魅力」について教えてください。

私は「Yahoo!ウォレット」という決済の仕組みでキャリアをスタートして、今は12年目ですが、非常に多くの経験を積んでいます。

100を超えるサービスを展開している企業はそうそうありませんから、この色々な経験ができるというのはヤフーで働く大きな魅力です。

またインターネットの世界では、今人気のサービスであっても2~3年も経つと忘れ去られてしまうような大きな変化が起こるものです。 ただ、ヤフーはしっかりとトレンドを追っています。そうやって最新のトレンドをちゃんと掴んでいるからこそ、どんな変化があってもインターネットの未来を作る力を持ち続けられると考えています。

ヤフーの親会社であるソフトバンクグループの孫社長が「2045年にシンギュラリティが起きる」という発言をしますが、私は、そうした変化を作るのがヤフーでありたいと考えています。インターネットの未来を作りたいという方はヤフーがベストな選択だと信じています。

- ヤフーには未来を作る力があるという熱い思いが伝わりました。それでは、次の方をご紹介いただけますか。

株式会社VOYAGE GROUP でCTOをされている小賀昌法さんをお願いします。

– 本日は、ありがとうございました。

ありがとうございました。

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(インタビュアー・構成:藤本大輔)

株式会社VOYAGE GROUP でCTOをされている小賀昌法氏のインタビューはこちら! 「エンジニアにもコミュニケーション力が重要である」と語る理由とは?

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