- 更新日: 2018年11月15日
- 公開日: 2014年06月20日
プログラミングが理屈抜きに楽しかったーグリー株式会社 CTO藤本氏インタビュー
CTOインタビュー第三弾!
有力企業のCTOの皆様に、プログラミング学習に関する体験談や、企業内での教育・育成の取り組み、初心者へのアドバイスなどに関するインタビューを皆さんにお送りするシリーズ「CTOインタビュー」。
第3弾はグリー株式会社のCTO藤本真樹氏へのインタビューです!
プロフィール:藤本真樹氏
上智大学文学部を卒業後、株式会社アストラザスタジオを経て、2003年2月有限会社テューンビズに入社。現在は登録会員数4000万人以上のSNS「GREE」や「釣り★スタ」などのソーシャルゲームを運営するグリー株式会社のCTOを務めている。個人としてもPHPフレームワークである『Ethna』の開発者として有名である。
グリーのホームページURL:http://corp.gree.net/jp/ja/
プログラミングが理屈抜きに楽しかった
ーまず、プログラミングを始めたきっかけはなんですか?
今の子供たちがどう捉えているかはわからないですが、PS4でも、Xboxでも、PSVitaでも、Wiiでも、おそらくゲームは彼らにとって「プレイするもの」ですよね。それは小さい頃の僕にとっても同じでゲームは「プレイするもの」で、ブラックボックスだったんですね。
ですが、はじめてPCでゲームとかをプレイしてみると、もちろんコンパイルされているんですが、仕組みが見えるんですよね、特に当時のまだプリミティブなゲームだと。
分かりやすい例だと、RPGの実行ファイルやセーブデータなどがあるのですが、そこにあるもの(コードやデータ)として見えるので、そこが僕にとっては凄く新鮮でした。それまで、ブラックボックスだったものが、「こんな簡単に見えていいのか?」と思うようになったんです。
ゲームのコードというのが手の届かないものではなくて、こうして動くものなんだと分かるようになったというのが一つ大きなきっかけです。
ー具体的にはどんなところが楽しかったのですか?
そうですね。例えばですけど、「セーブデータはいじれるんだ」「データを書き換えればレベル上がるんだ」みたいな発見ですね。ゲームをつくる側とプレイする側だったのが、その境界がなくなったということです。そして何より、プログラミングが理屈抜きに楽しかったんですね。
ーどちらかというと何か作りたいものがあってプログラミングを始めるという方も多いような気がするんですけど、割とそういった感じではなくて本当にプログラミングそのものが好きで始めたという感じですよね。
そうですね。何をつくりたいというのはあんまり無かったですね。
例えば、カーソルひとつ動かすような、すごく単純なことでも「それがなぜ動くのか」を(アプリケーションからハードウェアに至るまで詳細に)説明するのって結構むずかしいですよね?
プログラミングで大切なのは「調べれば分からないことは無い」という信念
ー本格的に始めたのは大学時ですよね。
そうですね。お仕事として始めて、自分のソースコードが他人の目に見えるようになったのは大学に入ってからですね。
ーそれまではオープンにせずにいたのですか?
今だったらGithubに上げればすぐソースコードを人に見てもらえますが、当時ぼくの環境はネットワークにつながってすらいなかったので、出来なかったし、考えもしませんでした。
ーやはり、ソースコードを他人に見てもらうのと、見てもらわないのとでは自身のスキルは全く違いますか?
違うと思います。「他人から指摘を受ける」と言うのは一人で勉強していたころには無かった体験で、そこはスキルとしても大きく変わりますし、バイト先の上司も優秀な人だったので指摘を受けて直してという過程で、もっとより良くしようとか、もっと色んなものを作ろうと思ったりして、成長する機会になりました。
ソースコードを見てもらって指摘を受けて成長すると言うのに加えて、単純に人に見られた方がモチベーションが上がりますよね。
ー当時挫折と言うのは無かったという様に聞いているのですが、どうだったのですか?
挫折ですか、、苦労は常にしていますけどね。すごい沢山調べてもやっぱり仕組みがわからないとかですね。
ー調べてすぐ答えが出ずに、どうして良いか分からなくてプログラミングやめてしまうと言う人が多いと思うのですが...
ガッツですね(笑)!というのは冗談で、結局そこに好奇心をもてるかどうかが大事だと思うんです。実は先日、何人かのエンジニア経験がない方に、プログラミングの基礎を学んでもらうということを試してみたのですが、楽しくなって自分でさくさく調べて行く人もいれば、全然進めない人もいて、それが結講分かれるんですね。
というのも、大前提として相手が機械なので、ほぼ不確定な事って起きないんですよ、だから「調べて分からないことはない」という強い信念を持つことが大事だと思います。「調べて分からないことはない」と念頭に置きながら、まずは壁を2,3個超えてみると、悩んでいる過程も含めて全て糧になるので、分からなくなった時にちょっとだけあきらめずに調べてみる、というのを何度か繰り返せば、後々楽ですよね。
ただ、社会人になってからだと、プログラミングを学ぶ人全員が全員時間がある訳でも無いので、調べ方や教えてくれる人、モチベーションとかがプログラミング学習においては大切だと思います。
プログラミングは理系だけのものではない
ー藤本さんの経歴として珍しいのは、大学が英文科という文系出身じゃないですか。文系でも理系っぽい考え方をしてらっしゃるのが大変興味深いのですが…
プログラムを書きはじめる、というときには、いわゆる理系らしい知識ってそんなに要らないです。最初の方ではですけどね、ちゃんとやるにはコンピュータサイエンスを知らなくてははいけないのですが、最初プログラミングを始める上では、必ずしも文系の人がプログラミングが苦手ということはないですね。
ー確かに文系の方はプログラミングが数学とか物理だとかを使うようなすごいハードルの高いもののように思ってらっしゃる方が多いように思いますね。
そこにプログラミングをやり始めた人とまだ始められていない人との認識の差はあるように思えますね。でも、言語ですよ。数学や物理と言うより言語の一つと考えた方が良いかもしれません。
ー今後御社は社内の非エンジニアの方に向けてプログラミングを教えて行くのでしょうか?
実は、もう既にエンジニア職以外の新卒にプログラミングの研修をやってもらっています。グリーはものづくりが出発点の会社なので、職種に限らずみんなが作っているもの、そして会社自体がどんなシステムで動いているのかと言うことを知っておいて欲しいという思いがありました。
この間はバックオフィスの社員に「Unity講座」を受けてもらう試みもありました。2-3時間でゲームをつくってみるというものですが興味を持っていただけたみたいで、すごくいい試みだったなと思っています。
\Webサイト担当者としてのスキルが身に付く/
最後に、プログラミング学習者に向けたエール
ープログラミングの重要性といいますか、学んでいて良かったというようなことは藤本さん自身にありますか?
この仕事に出会えて本当に良かったと思います。こんな楽しい事があるということに気づけてよかったです、これは僕の個人的な主観なのですが、そこにつきます。
プログラミングをやっていなかったら自分が何をしていたのか想像できないほどです。そういう仕事に出会えたのは素晴らしいことことだと思いますし、天職だと思っています。この仕事を通じてアイデアを実現できたり、オープンソースのプロジェクトに関わったりして世界と繋がれるようになりました。ピュアに楽しいですね。
ー特に社会人の方が多いと思うんですけど、何か初学者に向けてエールを一言お願いします。
英単語一言で言うなら「Enjoy」っていう感じですかね。特に最初は無理してやっていてもしょうがないので、楽しいと思えるやり方から入るのが良いと思います。どの仕事でもそうですが、教えてもらって身に付く事って凄く少ないと思っていて、きっかけをもって、自分であれやってみよう、これやってみようとか、工夫してやってみる方が成長できると思っています。
また、プログラミングを学ぶ方はぜひ「分からない事リスト」をつくると良いと思います。当たり前ですけど最初って分からないことだらけなんですよね。なので、プログラミングを学ぶ中で分からなかった事や気になったことを、そのままにせずに分からない事リストに挙げながら、別の時間でそれをとにかく一つ一つつぶして行く事をお勧めします。
そうすることで、最終的には分からない事がない、という状況にできるはずなので。
「EnjoyProgramming!」
続いてリブセンスCTOの平山氏にインタビューを行いました! 平山氏が語るプログラミングが出来るメリットとは?
事業×技術のハイブリッドな企業文化を創る!ーリブセンスCTO 平山氏インタビュー
- この記事を書いた人
- CodeCampus編集部