- 公開日: 2021年04月13日
業務効率化に役立つ!GAS(Google Apps Script)を初歩から解説
GAS(Google Apps Script)は、Googleのサービス上で使えるスクリプト言語です。
ドキュメントやスプレッドシートはよく使うけれど、プログラミングはハードルが高い・・・と思っていませんか?
この記事では作業開始からたったの数分で、サクっとGASを使えるよう図解入りで解説します。
勉強方法についてもポイントを押さえて解説しますので、ぜひ読んでみてください!
GASの利用例
GASを使いこなせばドライブやドキュメント、スプレッドシートなどのGoogleサービスを自動化できるため、業務を無理なく効率化できます。
SlackやChatworkなど、外部サービスとの連携も可能です。
[GASの利用例]
- ドキュメントで議事録を作成したら、GMailやSlack、Chatworkでメンバーに知らせる
- フォームの内容をスプレッドシートに保存し、自動返信もおこなう
- GMailとスプレッドシートを連動し、メルマガを自動送信する
- Web上の情報を取得して処理する(スクレイピング)
各種のサービスを組み合わせれば、さまざまな用途に対応できます。
GASのメリットとデメリット
無料で誰でも手軽に使えるGASですが、メリットだけではなくデメリットもあります。
GASのメリット
GASを使えば複雑な処理をスクリプトにまかせて、ほかの仕事にリソースを割けるのが大きなメリットです。
特別なハードウェアやソフトウェアは不要で費用もゼロなので、企業での利用も認められやすい傾向にあります。
JavaScriptをベースにしたスクリプトなので、GASで得た知識をWeb制作(フロントエンド・バックエンド)に活かすことも可能です。
自分だけではなく周囲の方にも恩恵が得られやすいGASを使えば、業務効率化のハードルがグッと下がります。
GASのデメリット
GASは誰でも無料で利用できますが、無制限に利用できるわけではありません。
たとえばスクリプトは、6分以上続けて起動できないよう制限されています。
またトリガー(特定条件で自動実行する)を利用して処理をおこなう場合、処理の合計時間が1日に90分未満でなければなりません。
制限を超えるとエラーが出て処理が止まるため、処理の時間などには留意してスクリプトを書く必要があります。
大量のデータを処理させたり、定期的に何度もスクリプトを実行したりする場合は要注意です。
参考:Quotas for Google Services (Google)
さっそく動かしてみよう
GASの特徴を把握したところで、簡単なスクリプトを書いて動かしてみましょう。
スクリプトには、以下の2種類があります。
[スクリプトの種類]
- コンテナバインド型・・・スプレッドシートなどのサービスに紐づけて利用
- スタンドアロン型・・・スクリプトファイルを単体で利用
今回はコンテナバインド型で、すぐに役立つスクリプトを作りながら解説します。
コンテナバインド型(サービスと連携)で使ってみる
今回はスプレッドシートで標準機能にない、消費税を計算する関数を作ってみましょう。
手順の全体像は以下のとおりです。
- スプレッドシートから、スクリプトエディタを起動する
- 短いスクリプトを書いて関数を作る
- 作った関数を使って、消費税を計算する
さっそく作っていきましょう。
[消費税を計算する関数の作成]
スプレッドシートを開き、メニュー"ツール”から"スクリプトエディタ"を選択します。
Webブラウザーの新しいタブに、スクリプトエディタが開きます。
ここから"tax"という名前の関数を作っていきましょう。
① セルの値(price)に税込み価格にするための係数(withTax)を掛け、結果を戻す(return)スクリプトを書きます。
② 書き終わったら、左上のディスクアイコンを押すか、キーボードからCtrl+Sを押してスクリプトを保存してください。
function tax(price) {
const withTax = 1.10;
return price * withTax;
}
Webブラウザーのタブから、スプレッドシートに戻ります。
価格を計算させてみましょう。セルに価格を入れ、先ほど作った関数(tax)を適用します。
計算結果が表示されました。他のセルにtax関数を使っても同様に計算されます。
スプレッドシートの標準機能にないけれど、頻繁に使う関数を自由に作れれば、仕事が楽になりますね!
スタンドアロン型(スクリプト単体)で使う場合
アプリケーションに紐づかないスクリプトを作るには、ドライブ画面左上"新規"をクリックし、"その他"→"Google Apps Script"を選択します。
スクリプトエディタが開くので、あとはスクリプトを書いていきます。
GASのおすすめ勉強法
GASは2020年2月から、対応するJavaScriptのバージョンが最新の"ECMAScript"対応になりました。
今からGASをはじめるなら、ECMAScript 2015(ES6)に対応している教材で学習を進めましょう。
現在世界で利用されているJavaScriptのバージョンは、ES6が主流です。
ES6を覚えればGASで覚えたJavaScriptの知識を、そのままWebのフロントエンドやバックエンド制作にも応用できます。
GASの学習におすすめの書籍
ES6をベースにしたGASの学習におすすめなのは、以下の書籍です。
[詳解! Google Apps Script完全入門[第2版]]
著者は『いつも隣にITのお仕事』というサイトで、GASの初心者に役立つ情報を多数公開している方です。
この本もサイトと同様に図解が多く、GASのはじめの一歩から丁寧に記述されています。またこの本の内容は、第2版でES6対応にすべてバージョンアップ済みです。
JavaScriptの学習に便利なサービス
少し複雑なスクリプトが必要になる場合、JavaScriptの基礎知識があればより理解が深まります。
もしJavaScriptに苦手意識があるならProgateやDonblerなど、環境構築の必要ないオンライン学習サービスの利用がおすすめです。
ProgateにはJavaScriptのコースが2種類(ES5・ES6)あるため、ES6のコースを学習するとよいでしょう。最後までコースを終えるには、月980円の課金が必要です。
Donblerの初心者向けJavaScript講座は、いまのところ無料で提供されています。
現在販売されている書籍やネットに公開されているスクリプトは、古い言語バージョンで記述されている例もまだ多くあります。
はじめは最新の参考書やサービスを使って基本的な学習を進め、スクリプトに古い部分があれば置き換えて書いていきましょう。
\Webサイト担当者としてのスキルが身に付く/
まとめ
エンジニアだけでなくさまざまな職種で役立つ、GASについて解説しました。
GASを使って業務を効率化し、余裕ができれば仕事の質を上げられます。
さらにWeb制作など、GASで使ったJavaScriptを活かして新しい分野の仕事に就くきっかけができるかもしれません。
GASでスクリプトを書いてプログラミングに興味がわいたら、CodeCampで学んでみませんか?
オンラインの体験レッスンがありますので、お気軽にご相談ください。
- この記事を書いた人
- 鳥飼千愛