- 更新日: 2023年04月11日
- 公開日: 2021年03月15日
Linuxの国際標準資格、LPICについて解説!勉強法もまとめました
LPICは、Linuxの技術力を認定する資格試験です。
受験者数は2018年6月の時点で約60万人以上と多く、エンジニア就職においても有力な資格です。
この記事では、LPICの概要や勉強方法、書籍などについて解説します。
もう一つのLinux認定試験、LinuCとのちがいについても解説しますので、ぜひ最後までお読み下さい。
LPICとは
それではさっそく、LPICの概要について解説します!
試験の概要
LPICはカナダに拠点を構えるNPO法人 Linux Professional Instituteが主催するLinuxの国際認定資格です。
未経験者のエンジニア就職に有効な資格とされていますが、エンジニアになってからも、業務上で触れる機会の少ない分野の知識をおぎなうためにLPICが役立ちます。
資格は難易度により、LPIC-1・LPIC-2・LPIC-3の3つのレベルに分かれています。
エンジニア就職の切り札として使うなら、まずはLinuxの基本的な操作について問われるLPIC-1を取得すれば十分です。
[LPIC資格と対応試験]
- LPIC-1(Linuxの基礎)・・・101試験+102試験
- LPIC-2(Linuxサーバー関連)・・・201試験+202試験
- LPIC-3 エンタープライズ混合環境・・・300試験
- LPIC-3 エンタープライズセキュリティ・・・303試験
- LPIC-3 エンタープライズ仮想化と高可用性・・・304試験
LPIC-1とLPIC-2には2つの試験があり、資格の認定には2つの試験に合格することが必要です。
それに対しLPIC-3は、3種類いずれかの試験に合格すればLPIC-3と認められます。
また上位資格の認定には、下位資格の認定が必要です。たとえばLPIC-2に合格し資格が認定されるには、LPIC-1を取得していることが前提となります。
試験要項
各試験共通の要項を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
主催機関 | LPI日本支部 |
試験日程 | 随時 |
試験会場 | ピアソンVUEのテストセンター(全国各地) LPIC-1、LPIC-2は自宅からの受験も可能 |
受験料 | 1試験あたり15,000円 |
申し込み方法 | Web予約、電話予約 LPI-IDを取得してから、ピアソンVUEのテストセンターへ申し込み |
受験方法 | CBT方式(コンピューター試験) |
試験時間 | 90分 試験終了後に結果が判明 |
問題数 | 60問(選択問題・記述問題) |
合格点 | 非公開(800点満点中500点程度で変動あり) |
認定の有効期限 | 5年間 |
再受験ポリシー | 7日間(受験日の翌週の同曜日より受験可能) 2回目以降の不合格の場合、30日間受験不可 |
Linuxの認定試験には、LPICのほかにLinuCという国内向け試験があり、取り違えて受験される方も多くいらっしゃいます。
受験される際は、ピアソンVUEで申し込みの際に「LPI認定試験」と表示されていることを確認されてください。
LPIC-1、LPIC-2については、自宅や職場からのオンライン受験も可能です。
LPIC-1(Level1)試験の概要
LPIC-1の試験内容は、Linuxの基本的な操作についての知識です。
[LPIC-1の試験内容]
- Linuxの基本的なしくみを理解する
- Linuxをインストールし、ネットワークのクライアントとして設定する
- コマンドを使ってLinuxを操作する
- ファイル操作、アクセス許可、セキュリティの設定
- ユーザーの追加、データのバックアップと復元、シャットダウンと起動
合格するための勉強時間は、1ヵ月〜3ヵ月程度です。
LPIC-2(Level2)試験の概要
LPIC-2の試験では、おもにサーバーの構築・管理についての知識が問われます。
[LPIC-2の試験内容]
- 高度なシステム管理
- ファイヤーウォールやVPNなど、ネットワークのセキュリティ管理
- サーバーに必要なネットワークサービスの、インストールおよび構成(メールサーバー、DNS、DHCP、Sambaなど)
合格に必要な勉強時間は、3ヵ月〜半年程度とされています。
LPIC-3(Level3)試験の概要
LPIC-3の試験内容は、おもに大規模な企業でのLinux利用についてです。
[LPIC-3の試験内容]
- LPIC-3 エンタープライズ混合環境・・・LinuxやWindowsなど、異なるOSのクライアントやサーバーが混在した環境でのシステム構築・管理
- LPIC-3 エンタープライズセキュリティ・・・暗号化やアクセス制御、アプリケーションやネットワークなどのセキュリティ管理
- LPIC-3 エンタープライズ仮想化と高可用性・・・大規模なシステムを利用しやすく、かつ障害に強い構成にするための技術
必要な勉強時間は、半年〜1年程度と長くなります。
LPIC試験の勉強方法
ここでは対象を初心者向けのLPIC-1に絞り、勉強法や参考書について解説します。
試験対策の概要
LPIC-1の試験では、コマンドを使った問題が多く出題される傾向です。参考書や問題集をこなすだけでなく、実際にコマンドを使って試せるLinux環境の準備が必須になります。
参考書で全体の流れを把握する
最初は、Linux試験の全体像を書籍で把握しましょう。
Linuxに多少なりとも触れたことがある方には、この参考書がおすすめです。参考書ではありますが、章末問題と模擬試験もついています。
受験生の間では通称"あずき本"と呼ばれ、エンジニアになってからも役立つ良書です。LPIC-2、LPIC-3に対応したバージョンもあります。
いままでLinuxに触れたことのない初心者の方は、この本と同じ著者が執筆した『1週間でLPICの基礎が学べる本』から読みはじめるのがおすすめです。試験勉強に必要な環境構築のやり方から、しっかり学べます。
Web問題集で数多くの問題を解く
参考書で試験の全体像を把握したら、Web問題集で勉強していきましょう。試験問題は公開されていないため、過去問サイトなどはありません。
[Ping-t 最強WEB問題集 LPIC Lv1-101(Ver5.0)]
(出典:Ping-t公式サイト)
Ping-tの問題集コンテンツは基本的に有料ですが、LPIC101試験の問題集は無料です。600問以上の問題が提供されており、大変充実しています。
さらにメインの問題集とは別途に、コマンド専門の"コマ問"と呼ばれる問題集があります。解答するとき、実際にLinuxコマンドを入力して結果を確認できるのが特長です。
コマ問も、101試験対応の問題集は無料で利用可能です。102試験以降の問題集を利用する場合、月額2,400円の利用料がかかります。
LPIC試験とLinuC試験はどうちがう?
Linuxの認定試験には、LPICの他に"LinuC(リナック)"があり、主催機関は日本に本拠地を置く別団体(NPO法人LPI-Japan)です。
LinuCは、LPICと同様にレベル1からレベル3までの3段階構成となっています。 またLinuCはディストリビューションにも依存しないような設問となっているので、安心して受験することができます。
両試験の出題範囲には違いがあり、LPICはLinuxについての知識を問うのに対し、LinuCはLinuxを扱うのはもちろんのこと、仮想化技術/クラウドやネットワーク、セキュリティなど、システム構築に必要となるスキルや知識などが問われることです。
エンジニア転職のためにLinuxの資格を取得するなら、自分にとって必要となる知識(=出題範囲)をよく考えてLPICとLinuCとを選択するのがおすすめです。費用が試験2回で3万円と安くはありませんので、LPICとLinuCとを取り違えて受験しないよう、気をつけましょう。最初に取得する資格を間違えると上位資格の取得にも支障が出るためです。
また試験選びは就職した後のことも考えておきましょう。
会社によっては、LinuCの受験には費用などの資格補助があり、LPICには資格補助のない場合があります。
\Webサイト担当者としてのスキルが身に付く/
まとめ
LPIC試験の概要と勉強法、LinuC試験との違いについて解説しました。
受験を考えているけれどまだLinuxに触れたことがない方は、まずLinuxコマンドに慣れることからはじめてみましょう。
学習に役立つ記事がありますので、参考になさってください。
参考記事1:Linuxコマンドを覚えよう① ファイルの作成・削除編
参考記事2:Linuxコマンドを覚えよう② ディレクトリの表示・移動編
LPIC試験を通じてLinuxに興味がわき、エンジニア就職を考えたらCodeCampで学んでみませんか?
オンラインで体験レッスンをおこなっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
- この記事を書いた人
- 鳥飼千愛