ベンダーについて解説!どんな企業がベンダーと呼ばれる?


ベンダーについて解説!どんな企業がベンダーと呼ばれる?

ベンダー(英語でvendor)とは、製品の製造元、販売元の企業です。

コンピューターやソフトウェア、ネットワーク機器など、IT関連の製品をあつかう企業を主にベンダーと呼びます。

この記事ではベンダーについて、複数の切り口で詳しく解説します。

具体的なベンダー企業もご紹介しますので、就職先の選択肢に入れている方はぜひご覧になってください!

目次
  1. ベンダーとは
  2. IT業界でのメーカーとベンダー
  3. 取引の際には販売する側がベンダー
  4. ベンダーの種類
  5. ITベンダー
  6. 取り扱い製品での分類
  7. シングルベンダーとマルチベンダー
  8. ベンダー資格
  9. まとめ

ベンダーとは

IT業界でのベンダーはハードウェアやソフトウェア、システム、サービスなどを販売する企業です。

他の業界と比較して、IT業界ではベンダーと呼ばれる企業の幅が広くなります。順を追ってみていきましょう。

IT業界でのメーカーとベンダー

一般的に製品をつくる企業はメーカー、販売をおこなう企業はベンダー(またはサプライヤー)と呼ばれ区別されていますが、IT業界では両方ともベンダーと呼ばれています。

たとえばMicrosoftはWindowsなどソフトウェアを開発していますが、販売もおこなうためソフトウェアベンダーに分類されます。

また一般的に、NECやDELLのようにコンピューターをつくる企業はコンピューターメーカーと呼ばれますが、IT業界での呼称はハードウェアベンダーです。

IT業界において、メーカーとベンダーが明確に区別されるケースはほぼありません。

取引の際には販売する側がベンダー

企業間で取引をおこなう場合、販売する側に立つ企業をベンダーと呼びます。

たとえばITベンダーであるNTTデータが、Microsoftからシステム構築に使うソフトウェアを調達したとします。

このときNTTデータにとって、Microsoftはベンダー(ソフトウェアベンダー)です。

しかしMicrosoftにとってNTTデータはユーザー(あるいはカスタマー、クライアント)となるため、ベンダーではありません。

このような場合、IT業界以外では供給側に立つ企業をサプライヤーと呼んで区別しますが、IT業界ではすべてベンダーと呼ぶのが慣例です。

ベンダーの種類

ベンダーは業態や取り扱う製品によって、いくつかの種類に分かれます。

ITベンダー

ITベンダーは情報システムの企画から構築、運用までを請け負う企業で、SIer(エスアイアー)あるいはシステムベンダー、SIベンダーとも呼ばれます。

ベンダーのなかでもっとも広範囲の業務をカバーするのがITベンダーです。

[国内大手ITベンダーの売り上げランキング]

  1. 富士通・・・サーバー製品からICTの運用管理までを自社で提供
  2. 日立製作所・・・金融や社会インフラなど幅広い分野を網羅する
  3. NTTデータ・・・内閣官房から各地の災害対策まで、官公庁の大型案件が主力
  4. NEC・・・ネットワーク関連のシステム開発に強みがある
  5. 日本IBM・・・MUFGやみずほ銀行など、メガバンクの基幹システムを担う

また外資系ではIBM、アクセンチュア、DXCテクノロジー(旧社名:ヒューレットパッカード・エンタープライズ)などが代表的です。富士通はそれに続き、売り上げ世界第4位のITベンダーになります。

海外企業では、既製のソフトウェアを自社システムとして活用する事例がほとんどです。対して国内企業では、ITベンダーによるシステム開発が非常に多い傾向にあります。

社内SEの仕事のなかで、社外のITベンダーに自社システムを発注・管理する業務はベンダーコントロールと呼ばれます。

※参考資料(ランキング):『会社四季報 業界地図 2021年版』(東洋経済新報社)

取り扱い製品での分類

ベンダーは販売する製品の種類によって、製品の種類+ベンダーという名前で呼ばれます。代表的なベンダーを一覧にしました。

名称 役割 代表的な企業
ソフトウェアベンダー ソフトウェアの販売(アプリケーション、OSなど)
既製品(パッケージソフト)を販売するため、パッケージベンダーとも呼ばれる
Microsoft、Oracle、SAP
ハードウェアベンダー ハードウェアの販売(コンピューター、ネットワーク機器、デバイスなど) 富士通、DELL、Cisco
クラウドベンダー クラウド上でサーバーやストレージサービスを提供 Amazon、Google、Microsoft
SaaSベンダー クラウド上でソフトウェアサービスを提供 Salesforce、サイボウズ、Sansan
セキュリティーベンダー セキュリティー対策ソフトウェアの販売 トレンドマイクロ、McAfee、Symantec

MicrosoftやOracle、富士通のように数種類のベンダーに属する企業があるのは、事業が多角化しているためです。

シングルベンダーとマルチベンダー

シングルベンダーとは、ひとつの企業の製品のみを扱うベンダーです。

代表的なシングルベンダーはOracleです。主力製品のOracle Databaseを中心にした"Oracleエンジニアド・システム"と呼ばれる情報システムを、自社製品のみで構築し導入しています。

それに対しマルチベンダーは、複数企業の製品を扱います。一般的なITベンダーのほとんどがマルチベンダーです。

[シングルベンダーのメリット]

  • ベンダーとの長期的な関係を築きやすい
  • すべて自社製品のため、ソフトウェア間の相性問題に対処しやすい

相性問題に対処しやすいことは大きなメリットになります。他社製品どうしの相性問題が発生すれば解決に時間がかかるうえ、場合によっては違う製品を検討する必要もあるためです。

[シングルベンダーのデメリット]

  • 製品やサービスの選択肢が少なくなる
  • 他社製品への乗り換えが難しくなる

他社製品への乗り換えが困難になった状態をベンダーロックインと呼び、コスト面で優れている競合製品を採用しにくくなります。

ベンダーロックインを防ぐ方法は、UNIXなどオープンソースのソフトウェアを利用したうえ、複数ベンダーの製品でシステム構築をおこなうことです。

このようなシステムをオープンシステムと呼びます。

ベンダー資格

ベンダー資格とは、ベンダーが自社製品について一定の技術力や知識があることを認定するための制度です。

資格の取得条件に筆記試験や実技試験があるため、"ベンダー試験"とも呼ばれます。

[代表的なベンダー資格]

資格名 ベンダー 概要
CCNA・CCNP Cisco Cisco製のルーターやスイッチに関する資格
合格した日から3年で失効するため、再試験による更新が必要
Oracle Master Oracle Oracle Databaseに関する資格
Bronze・Silver・Gold・Platinumの4段階に分かれる
Microsoft認定資格 Mircrosoft AzureやMicrosoft 365など、ソフトウェア製品に関する資格
上位資格には合格から2年間の有効期限あり

ベンダー資格があれば特定のソフトウェア製品に関する知識や技術力を証明でき、転職や人事異動の切り札として役立ちます。

それに対しベンダー資格のデメリットは、受験料が数万円と高額なことです。有効期限のある資格も多く、一生使える資格ではありません。

ベンダー試験を受けるか迷ったときは、得た知識を使う機会が本当にあるか検討してみるとよいでしょう。

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まとめ

IT業界でよく耳にするけれど、実際にはわかりにくいベンダーについて解説しました。

具体的な企業名やベンダーの分類、周辺の用語を知ることで、より理解が深まったことと思います。

現在はベンダー製品に特化したエンジニアと比べ、オープンソース関連人材の需要が高まる傾向にあります。

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鳥飼千愛
この記事を書いた人
鳥飼千愛
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