「データ」を武器に戦うマーケター、ディレクターはSQLを身につけるべき


「データ」を武器に戦うマーケター、ディレクターはSQLを身につけるべき

「データ分析・企画という観点からよりよいものづくりをしたい」この思いを実現するために選んだのは、データ分析とデータをもとにサービスを企画するチームで働くこと。
京大でバイオテクノロジー分野を専攻し、新卒でグループウェアを開発している会社に入社後、株式会社ビズリーチへ。現在はプロダクトマネージャーとして活躍する荒金万琴氏に、非エンジニアがエンジニアスキルを身につける必要性などをインタビューしました。

目次
  1. なんとなくでは本質的な課題解決につながらない。データを用いたプロダクト改善に興味を抱く
  2. データ分析を通して「よりよいものづくり」をするために、ビズリーチへ
  3. マーケターはやりたいことが明確なため、基礎さえわかればのめり込んでしまう
  4. マーケター、ディレクターにとってデータの活用が成果を出すための鍵になる
  5. 非エンジニアでも自分でSQLを書いて、仕事をすることが当たり前に
  6. マーケティング思考×データ分析はどこでも戦える武器になる

なんとなくでは本質的な課題解決につながらない。データを用いたプロダクト改善に興味を抱く

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- まずは、荒金さんのご経験をお伺いできますでしょうか?

法人向けクラウドサービスを開発している会社に入社し、新規事業のマーケティングを担当していました。プロモーション用のWebサイトのディレクション、広告のディレクション、イベントの運営、プレスリリースの執筆など幅広く手がけていました。

その後転職をし、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」のプロダクトマネージャーを担当しています。「個人と企業にとって最適なマッチングの実現」をテーマに、主に企業様が利用するプロダクトの開発に取り組んでいます。定量・定性情報からお客様の課題を発見し、それを解決するためにどうアプローチすべきか企画を立て、開発を行います。一緒にサービスを作るエンジニア・デザイナーをはじめ、採用成功をサポートするコンサルタントとも協力し、課題の洗い出し・施策検討を行っています。

 

– データサイエンスとは離れていた業務をやられていたのに、なぜデータサイエンスを仕事に取り入れようと考えたのですか?

マーケティングの仕事はとても充実していました。

ですが、ユーザー会でお客様からご意見をいただいたり、自分も一ユーザーとして使っていて「もっとこうだったら」と思う機会が増えました。そこで、「プロダクトの認知を広げること」から、だんだんと「プロダクト自体を良くすること」に興味が湧いていったのです。

 

しかし、アイデアが本当に課題解決につながるのか、感覚だけではわかりません。それで、データを使って検証してみようと思い立ちました。

 

データ分析を通して「よりよいものづくり」をするために、ビズリーチへ

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– そこからデータ分析を本格的にスタートされたのですか?

本格的にはできなかった、というのが正直なところです。

当時はお客様の行動を知るために、SQLを勉強してアクセスログを分析しようとしていました。

 

しかし、自分のスキルが足りず、他の仕事と並行だったので時間も限られており、成果が出せませんでした。「これをメインの仕事にできたら、もっと良いプロダクトができるのに」と考えるようになりました。そんなときに、先輩がビズリーチに在籍しており、相談したのが始まりです。

– そこで、ビズリーチへ転職をしたということですね。

はい。データ分析・データをもとにしたサービス企画を行うチームがあるという点に興味を持ちました。業界最大手の企業でデータサイエンティストとして活躍し、その知見を活かしてサービス改善に取り組む社員がいました。その存在も入社の後押しになりました。この環境であれば、自分の思い描いた「よりよいものづくり」が実現できると考え、ビズリーチに入社を決めました。

 

マーケターはやりたいことが明確なため、基礎さえわかればのめり込んでしまう

 

– 転職後にデータ分析チームへジョインしたあとは、どんなことを学習したのですか?

データ分析チームでは「社内コンサル」的に仕事をしていました。各部署から「施策の効果検証をしたい」「プロモーションのためにこんなデータを使いたい」という依頼があり、そこに対してアドバイスをしたり、目的に合ったデータを提供したりする業務です。そのため、SQLでのデータ抽出・Tableau(BIツール)での分析方法をまず学習しました。

また、社内で勉強会を行い「Googleアナリティクス個人認定資格」や「統計検定」を取得したり、Tableauのユーザー会に参加したりと、自分で学ぶ時間を確保するようにしました。 – SQLやBIツールの学習を進めていく際に苦労した点はありますか?

先輩に添削指導をしてもらっていましたが、なかなか欲しいデータが出せないことも日常茶飯事でした。

基本的な文法は習得できても、サービス特有の仕様・データ構造や、事業構造を理解しなければ適切な分析ができません。

逆にいうと、マーケターやディレクターの方が「やりたいこと」「知りたいこと」があるので、基礎さえわかれば楽しくなってくると思います。プログラミング未経験者でも、ExcelやAccessを使う方なら、SQLは比較的とっつきやすいです。好奇心が湧いてくればこっちのものです。

– どのような学習スケジュールで習得したのですか?

入社後の1ヶ月で学習しました。後半の2~3週間は実務をやりながらです。

学習コンテンツは、レベル別の課題が社内で用意されており、それをクリアしていくという流れです。

一定のレベルに達すると先輩のサポート付きで実務ができるようになり、全てクリアすると一人前と認められます。

コンテンツがまとまっているので、今はそれを使って誰でも学習できるようになっています。

私も今、マーケティング部のインターン生にSQLの指導をしています。

 

マーケター、ディレクターにとってデータの活用が成果を出すための鍵になる

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– SQLなど分析系のツールを学習してどのように仕事が変化しましたか? サービス改善に使いたいデータを、自分で素早く取得・加工できることです。

依頼をしても、常に最優先で対応してもらえるとは限らないし、自分の欲しいデータを正確に伝えるのって実は大変です(笑)

また、機能追加をする際、データ構造の話ができるようになったことも大きいですね。

「このような効果検証をしたいので、こういう形のログが出るようにして欲しい」といった軸でエンジニアと仕様検討ができます。そのため、よりPDCAをまわしやすい形で開発ができるようになりました。

– 定量情報をみるといろんなアイデアが生まれそうですね。

マーケティングやディレクションの仕事をしていると、「ユーザーの動きを明らかにしたい」という欲求は必ず出てくると思います。定量的なデータから、どんな属性の方が、どんな行動・体験をしているかを知ることで、課題の種を発見できます。

もちろん「掘ってみたけどここじゃなかった」こともたくさんありますが、それも知見のひとつですよね。

 

最近の施策ですと、スカウト送信までのフローを見直すことで、企業様のスカウト送信数が180%増加したことがあります。

まだ試行錯誤しているところですが、よりよいプロダクトをつくるために、今後も定量情報は大事にしたいです。

 

非エンジニアでも自分でSQLを書いて、仕事をすることが当たり前に

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– 荒金さんが開催しているSQL勉強会はどのような方が参加されているのですか?

マーケターや、ディレクターの方がメインですね。

PDCAのスピード感に課題を感じていたり、「SQLを書けたほうがいい」と聞くけどひとりで勉強するにはハードルがあったり、という方が結構いらっしゃいます。

職種に関わらず、社員全員がSQLを書ける会社さんもあるそうですね。

そこまでいかなくても、「企画職は書けて当たり前」といわれるようになるかもしれません。

– 勉強会ではどのようなことをレクチャーしているのですか

メリットを伝えること、ハードルを下げることをとにかく意識しています。

まず、自分でデータを扱えるメリットを、私の実体験や、似た立場の方のお話等から紹介します。

また、データの構造を身近なものに例えて話したり、簡単なデータ抽出をハンズオンで体験していただくようにしています。講座終了後、「自分でもできそうと思えた」「もっと勉強してみたい」といった感想をいただき、嬉しかったです。

– 社内でSQL勉強会を定期的に開催しているとお伺いしました。

ビズリーチでは、エンジニアやプロダクトマネージャーなどが持ち回りで外部勉強会を開いています。

様々な言語・フレームワークのハンズオン講義、ゲストを招待してのパネルディスカッションなど、自由なテーマでほぼ毎日開催されています。SQL勉強会も、その一環として行いました。

 

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マーケティング思考×データ分析はどこでも戦える武器になる

マーケティングスキルはあらゆる仕事で必要とされると思います。

例えばセールスでも、ターゲットとするお客様はどんな方か、どう提案すれば刺さるのか、自分の行動のどこにボトルネックがあるのか、絶対に考えますよね。

 

最近ではお客様が「人事でもマーケティング思考が必要だ」と仰っていて、たしかにその通りだと感じています。自社ブランディング、採用ターゲットの設定、メッセージング、数値をもとにした振り返りなど、ほぼマーケティングと一緒なんですね。

– それに加えて、データ分析ができるとさらに強いということでしょうか?

そうですね。武器としてデータ分析や統計のスキルを持っていると活躍できるフィールドが広がると思います。欲しいデータを自分ですぐに取得できますし、そのデータ取得後に何をするのかという全体像もわかっていますから。

 

さらにプログラミングまでできると、自分で全部作れちゃいますね(笑)

特に女性はライフイベントで仕事を離れることもありますが、汎用的なスキルを身につけておくことで、自分の可能性が広がるのではないでしょうか。 私個人としても、ビズリーチでプロダクト開発に携わることで、多様な方がいきいきと働ける世界を作っていきたいなと考えています。その一つのサンプルとして、私のようなキャリアもあるんだ、と思っていただければ幸いです。

 

 

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―マーケティングスキルの有用性やマーケティング担当者が今後担うべき役割、たくさんのヒントがいただけました。ビズリーチをはじめ、20代向けレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」、地図で仕事が探せるスタンバイの展開、ともに楽しみにしています。本日はありがとうございました!

本日インタビューさせていただいた荒金さんが働いているビズリーチのご紹介です。

即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」 image

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CodeCampus編集部
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