- 更新日: 2017年03月22日
- 公開日: 2017年02月23日
VR・MR・ARの違いとこれから期待が高まる分野とは?
仮想か現実か?映像での空間認識の技術として使われる、「VR」「AR」という言葉は、以前よりも一般的になってきました。また、新技術「MR」も耳にする機会が増えています。今回は、このVR・AR・MRそれぞれの違いを再確認し、これから利用が予想される技術・分野について探ってみます。
VR:仮想現実(人口現実感)無いはずのものを体験する技術
■img: samsung 仮想空間を現実のように見せるVR
VRは「Virtual Reality(ヴァーチャル・リアリティ)」の略で、日本語にすると「仮想現実」という意味です。その名の通り、現実には存在しない空間を作り出し、ビジュアル機器によって見ることができる技術です。
具体的な商品としては、昨年秋に発売となった「PlayStation VR™」があります。専用のVRヘッドセットを身につけることで、ゲームの中の世界に没入できるとあって、今までのモニター画面では得られなかった、迫力ある感覚が得られるようになりました。
また、VRのヘッドセットには、別モニターにも映像を写す機能が搭載されています。これにより、専用ヘッドセットを付けていない人も、一緒にVRの世界を見ることができます。
VR技術が連れてくる未来とは
「今ここにいない人が、あたかも現場にいるような映像を見られる」そんなVR技術が期待される分野には「ソーシャル」と「映像ニュース」があります。
Facebookでは2016年の開発者向けイベント「F8」で、ソーシャルVRのコンセプトを提案しています。「仮想現実の中で、人が声とボディーランゲージで、どのようなコミュニケーションが取れるか」という研究が始まっているそうです。
VRの技術がもたらす映像体験は、報道の世界でも期待が高まっているようです。「TOHOKU360(トーホクサンロクゼロ)」は日本初の「360°VR動画ニュース」に特化したニュースサイトとして注目を集めています。
実際に人が足を踏み入れることが困難な、気候の厳しい地域の情報や、科学実験の現場も、VRの技術によってより身近な存在にシフトすることが期待されます。
AR:リアルな空間認識にデジタル情報をプラスする技術
「Pokemon Go! ™」で理解しやすくなったAR技術
ARは「Augmented Reality(アーギュメンティド・リアリティ)」の略で、日本語では「拡張現実」となります。Augmentを直訳すると「…を増加(増大)させる」という意味です。もともと存在するリアルな空間認識に、デジタル情報を「増加」させた技術が、ARというわけです。ARは現実の世界がベースとなっているため、リアルとバーチャルが混ざりあった空間認識が得られます。
最もわかりやすい例は、ゲーム「Pokemon Go! ™」でしょう。リアルに存在する私達の街の情報(現実空間)に、ポケモンが闘うスタジアムの情報(デジタル情報)がプラスされることで、現実が拡張したと捉えることができます。
インテリアの分野では「IKEA」が、自分の部屋に家具を「仮置き」して見られるアプリを提供しています。自分の部屋(現実空間)に購入前の家具(デジタル情報)をプラスすることで、買い物の失敗が減ると共に、企業への信頼度が上がることも期待されます。
AR技術が期待される分野とは
今後、AR技術の活用が期待される分野は、IKEAのような、インテリアや建築分野、ファッションやカタログ販売が挙げられます。ARは、既存のスマートフォンやタブレットが利用できるため、導入しやすいという利点があります。
AR技術は「東京書籍の図鑑」を始めとした「教育分野」での活用が期待されます。印刷物では不足しがちな情報を、AR技術によって、より具体的に可視化することで、物事の理解が深まります。本の中の写真が動いたりすることで、AR技術は子どもたちの学習にも、大きくプラスとなりそうです。
MR:デジタル空間にリアル情報を追加する新技術
https://www.youtube.com/watch?v=kPMHcanq0xM
新技術MRとは
MRとは、Mixed Reality(ミックスト・リアリティ)の略で日本語では「複合現実」と呼ばれます。CGなどの仮想空間に現実世界の情報をミックスすることで、バーチャルとリアルの融合させた世界を作る技術です。
前述のARとMRの違いですが、ARではデジタル情報と現実空間の間に、接点はありません。MRの場合は仮想空間に取り込まれた現実の情報が、相互に影響し合うという大きな違いがあります。
まるで、映画中の世界のようで、ピンと来ないかもしれません。MRはまだ開発途上の技術でもあり、具体的な製品は極秘であることが多いようです。
MRの活用が期待される分野について
Googleなどが巨額の資金を提供したことで話題となった「Magic leap」が現時点ではMR技術の開発を行っている代表格といえます。しかし、その具体的な技術に関しては、公式サイトで映像が提供されているにとどまり、開発は極秘に進められている印象があります。
現実の情報をどのように仮想空間に取り込むのか、また、取り込まれた現実の情報がどのように仮想空間で活かされるのか?MRは、未知なる点が多い分、空間認識が新しいマーケティングにつながる可能性も高いといえます。MRは、今後目の離せなくなる新技術になりそうです。
まとめ
アメリカのベンチャーキャピタルである「Rothenberg Ventures」は「RIVER SUMMER 2017」というテクノロジープロジェクトへの、資金提供を発表しています。このプロジェクトには、拡張現実「AR」のも含まれており、世界中の投資家が、VR,AR,MRの発展に注目を寄せているといえます。
映画「マトリックス」のような空間体験は、今後ゲームや映画の中に留まらず、報道、教育などより身近な分野での活用が見込まれます。