- 公開日: 2016年01月09日
デザインのデザイン Code部厳選ブックリスト
デザインのデザイン
内容
「デザイン」とはいったい何なのか?敢えて辞書的に定義するならば、それは「意匠」や「応用美術」と翻訳される概念であり、何らかの使用目的に則して造形が行われる点で、それ自体自律して成立しうるものとされる「ファインアート」とは厳密に区別される。だがテクノロジーの変革やそれに伴う情報環境の変化が著しい昨今では、その意味自体が極めて流動的なものとなり、範囲を正確に定めることが著しく困難になってしまったとの声もよく聞かれるようになった。存外、「デザイン」の定義に最も悩んでいるのはほかでもないプロのデザイナーなのかもしれない。
本書に一貫しているのも、デザインにとって最も基本的で、かつ最も困難なこの問いである。現場の第一線で活躍する現役デザイナーである著者は、最初に基本的なデザイン史をひと通りおさらいした後、「無印良品」や本の装丁、あるいは長野五輪や愛知万博など自らが関与した多くのプロジェクトへの取り組みを回想する一方、四角いトイレットペーパー、ロール型のゴキブリホイホイ、落ちている木に発火剤を塗布したマッチなど、ユニークなデザイン例の紹介にも多くのページを費やしている。特に著者が「リ・デザイン」と呼ぶ後者のさまざまな事例は、何の変哲もない日用品のスタイリングにちょっとした工夫を加えて意外な効果を引き出したものばかりであり、デザイン本来のあり方を再考するうえで格好のきっかけを提供してくれている。
本書の末尾において、著者は「コミュニケーション・デザイン」「ヴィジュアル・コミュニケーション」「グラフィックデザイン」という3つのキーワードを提示し、自らの職能やその社会的役割をこの3者の関係性のなかに見いだそうとしている。「デザインのデザイン」という人を食ったようなタイトルは、いかにも現代的なその試行錯誤の名前でもある。文体は軽妙洒脱だが、かといって本書の問いかけが軽いわけでは決してない。(暮沢剛巳)
著者について
デザイナー。1958年生まれ。「もの」のデザインと同様に「こと」のデザインを重視して活動中。2002年に無印良品のアドバイザリーボードのメンバーとなり、アートディレクションを開始する。長野オリンピックの開・閉会式プログラムや、2005年愛知万博の公式ポスターを制作するなど日本の文化に深く根ざした仕事も多い。展覧会の企画も多く手がけ、「REDESIGN」「HAPTIC」では独自の視点からデザインの新たな課題を社会に提示し、「SENSEWARE」「JAPANCAR」では産業の潜在力を可視化し、世界へと発信していくなど、活躍の場を広げている(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『「無印良品の家」に会いに。(ISBN-10:4838725213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
レビュー
デザインってよく使っているけど実際はなんなんだろう。
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まえがき
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- CodeCampus編集部