- 更新日: 2021年06月30日
- 公開日: 2021年05月17日
色は人の心を動かす!心理効果をデザインに活用しよう
あなたは青い空を見て爽やかな気持ちになったり、ピンクの花を見て愛らしさを感じたりしませんか?
人は無意識のうちに色から様々な影響を受けています。
特徴を理解して活用することによって、ブランディングにつながりユーザーの行動も誘導できるため、デザインにおいて色は重要な要素です。
そこでこの記事では色が与える心理効果や影響、色別の代用的な特徴を解説します。
最後までお読みただき、あなたのデザインに活用してください!
色は心理的影響を与える
人間は生活の中で、多くの色によって心に無意識の影響を受けています。
たとえば料理のメニューの場合、青白い写真よりも鮮やかな写真の方が食べたくなりますよね。
このように色は視覚から五感に働きかけ、心理的影響を与えているのです。
どのような影響を与えるのか理解し意図的に利用することによって、デザインがより効果的なものになります。
色の印象は個人の経験に大きく左右される
色に対するイメージは個人差や経験によって異なり、生まれ育った文化も影響するものです。
たとえば一般的には安らぎを与える緑でも、幼少期から嫌いな虫が緑であれば「緑=虫=嫌い=落ち着かない」という印象になるかもしれませんね。
とはいえ心理的・生理的な影響によって大多数に共通するイメージは存在し、「多くの人がこう感じている色だ」という認識によってイメージが固定されることもあります。
男性と女性で虹の色が違って見えている?!
男性と女性では認識できている色数が異なるってご存知ですか?これは体の作りやホルモンの影響による違いによるものです。
男性が虹を7色と認識しているところ、女性は29もの色を認識できるといわれています。
つまり同じ色でも男女で見え方が変わり、受け取り方や印象も異なるのです。
デザインの目的や内容に合わせて、意識したいポイントですね。
色が与える7つの心理的影響
色が与えるさまざまな心理的影響の中から、代表的な7つをご紹介します。
- 1.温度感:寒色と暖色
- 2.重量感:軽い色と重い色
- 3.距離感:進出色と後退色
- 4.大きさ: 膨張色と収縮色
- 5.感情:興奮色と沈静色
- 6.味
- 7.香り
順番に詳しく解説していきます。
1.温度感:寒色と暖色
- 寒色:寒さや冷たさを感じる色
- 暖色:暑さや暖かさを感じる色
自律神経である交感神経と副交感神経に作用することによって、色から温度を感じています。
温かみを感じてほしい場面では赤やオレンジを使い、涼しさを感じてほしい場面では青を使うといったように、温度感を活用してデザインしましょう。
2.重量感:軽い色と重い色
- 軽い色:明るく明度が高い色
- 重い色:暗く明度が低い色
たとえば金庫が真っ白だった場合、軽そうに見えて持ち上げられそうな気がしてしまいませんか?
同じ重さのものでも、明度が高い色のものは軽く見え、明度が低い方は重く見えるといった印象を与えます。
人間は無意識で重力を認識しているため、重く見える色は下に配置することでより安定感を感じられるでしょう。
色の配置にも重力や安定感を意識してデザインしてみてください。
3.距離感:進出色と後退色
- 進出色:手前に迫ってくるように見える色
- 後退色:後方に下がっているように見える色
色によって距離感が生まれ、空間の広さのイメージにも影響します。
暖色系や明るい色は進出色、寒色系や暗い色が後退色です。たとえば部屋の天井を高く見せたい場合は、赤系よりも青系の壁紙の方が効果的になります。
4.大きさ: 膨張色と収縮色
- 膨張色:同じ面積でも大きく見える色
- 収縮色:同じ面積でも小さく見える色
白や暖色系・明るい色は大きく見える膨張色であり、黒や寒色系・暗い色が小さく見える収縮色です。
白と黒の囲碁の碁石ですが、白石が膨張して大きく見えるため、同じ大きさで見えるように少し小さめに作られています。
また黒は小さく引き締まって見えるため、細く見せたいときには白い服よりも黒い服の方がおすすめです。
5.感情:興奮色と沈静色
- 興奮色:心拍数を上げる作用のある色
- 沈静色:落ち着きを与える色
暖色系や鮮やかな色は脈拍や体温が上がりやすく、気持ちを高ぶらせ安くなります。
寒色系や彩度の低いくすんだ色は脈拍や体温が下がりやすく、気持ちを落ち着かせる色です。
たとえば闘牛士の鮮やかな赤いマントは、観客を興奮させるための色といわれています。
寝室のインテリアには、鮮やかな色よりも寒色系の彩度が低い色の方が落ち着いて眠れるでしょう。
6.味
色から受ける味のイメージは、「レモン=酸っぱい=黄色」といったように食材や原材料の色に大きく影響されます。
- 辛い:赤
- 苦い:茶・黒
- 酸っぱい:黄
- 甘い:ピンク・パステルカラー
- 食欲が湧かない:青
デザインにおいて、アピールしたい商品や食べ物と表現したいイメージを色によって繋げることができます。
7.香り
香りと色の関係は、味と同様に食材や原材料、対象物に影響されます。 無意識で色から物を連想し、そこから香りを想像しているのです。
- ピンクやパステルカラー:花の香り
- 黄色やオレンジ:柑橘系の香り
- 明るい青系:爽やかな香り
フレグランスやアロマにおいて、紫=ラベンダー、黄=レモンといった連想しやすいイメージを利用したパッケージデザインとして活用されています。
代表的な色のイメージ
代表的な10色のそれぞれの特徴やイメージをご紹介します。
赤
情熱・活力・力強さ・興奮・高揚・怒り・警戒・明るさ
赤は交感神経に働きかけ、脈拍や体温を上昇させる色です。
そのため強いエネルギーや温かみを感じ、感情が高まりやすいといった特徴があります。 人間の本能を刺激しやすく、注意書きや警告のサイン、セールやお得なイベントの告知での利用も効果的です。
オレンジ
活発・陽気・明るい・暖かい・太陽・健康・にぎやかさ・フレッシュ
明るく活発な印象をもたらすオレンジは、ネガティブな印象を受けにくいといった特徴があります。不安を感じにくく、ポジティブなエネルギーを与える色です。
内臓の働きを活発にする効果があるといわれ、飲食店や食品にまつわるデザインで活用されています。
黄
希望・元気・軽快・光・エネルギー・活動的・注意・明るさ
光のイメージである黄色は、明るく希望にあふれた印象を与えます。集中力や判断力を高めるともいわれ、頭の回転を早めたいときに取り入れると効果的です。
主に黒と組み合わせてコントラストをつけ、危険や注意を表すサインとしても利用されています。
青
信頼・知的・落ち着き・誠実・清潔・清涼・悲哀・冷たい・静寂
青は脈拍や体温を下げて落ち着きを与え、静寂や誠実さを表します。 知的なイメージがあることから、医療関連や教育、士業といった分野のデザインに多く利用されている色です。
集中力をアップさせることから、パソコンやデスクに青いものを置くと作業効率が上がるともいわれます。
緑
安らぎ・自然・さわやか・健康・若々しさ・癒し・平和・安全・リフレッシュ
緑は自然を強くイメージさせる色であり、そこから平和や安全、癒しといった印象を与えます。 リラックスした安らぎを感じさせ、心のバランスを整える色です。
健康や若さといった自然なエネルギーを感じさせることから、争いや負の感情を減らしたい場面でも利用されています。
紫
高貴・優雅・上品・神秘・伝統・気品・ロマンス・妖艶
紫は高貴で上品な印象を与え、心を落ち着ける沈静効果のある色です。
昔は紫の染料が貴重なものだったため、身分の高い人物のみが身につけられる色でした。 そのため権力や宗教との結びつきが強い色でもあります。
スピリチュアルで多く利用されており、神秘的なイメージを表現したいときに取り入れるといいでしょう。
ピンク
可愛らしい・若さ・甘さ・幸福・優しさ・やわらかさ・愛情
ピンクは緊張を和らげ、柔らかさや優しさといった印象を与える色です。 幸福や愛らしさ、思いやりを表すことから、女性向けの商品やサービスで多く利用されています。
春の象徴的な桜のイメージから、春を代表する色としても使われる色です。
味覚的な甘さも感じさせる色であるため、スイーツ関連のデザインで多く使われています。
茶
ぬくもり・素朴・歴史・古風・落ち着き・質素・堅実・静けさ
茶色は大地を連想させることから、落ち着きや安らぎ、安定感を与える色です。 また木を連想させることもあり、ぬくもりや素朴感、歴史を感じさせます。
緑と茶色は自然の中に混在するため、違和感なく非常に相性のいい組み合わせです。
刺激がなく緊張を和らげ、心身共にリラックスさせる効果があるため幅広いジャンルのデザインで利用されます。
白
クリーン・清楚・シンプル・清潔・神聖・純粋・無・無垢・正義
白は色味をもたない無彩色であり、色の中でもっとも明るい色です。 清楚で無垢な印象を与え、神聖なイメージをもっています。
天国や天使、神様のイメージが白で表現されているのはよく目にしますね。 純粋さや信頼を表すことから、クリーンなイメージを表現したいデザインでも活用されます。
黒
重厚感・力強さ・厳粛・高級感・都会的・威厳・恐怖・不吉・悪・死
黒は無彩色であり、光を反射させずに吸収する色です。 他の色への影響が強く、重厚感や高級感といった印象を与え、力強さを感じさせます。
暗闇や不吉、悪や死といったマイナスイメージも与えるため、デザインに利用する際には注意が必要です。
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色の心理効果はデザインに欠かせない要素
色にはそれぞれの特徴があり、人はひと目で影響を受けています。
美味しそうだから食べてみよう、かわいいと感じたからつい買ってしまった、といった行動を促す働きをするのが色の心理効果です。
デザインだけではなく、服のコーディネートや料理の盛り付けといった色々なシーンで意識してみてください。
それぞれの色の特徴や人間に与える影響を理解し、色の心理効果をデザインに活用していきましょう。
- この記事を書いた人
- 今村真理子